高校生!

4月になり、俺は高校生になった。とはいえ、通っている学校は中高一貫で、高校から入学した生徒は1年次別クラス(2クラスある)になるので、あまり高校生になったという実感はない。中学の卒業式も高校の入学式も形式的なものであった。そして安達・松永・尾崎も高校生になった。3人とも高校生のメンバーがすでに通っている某高校に進学した。


ツバキガールズは先月に2枚目のシングルが発売され、またしても初日で100万枚以上が出荷されたという。そして7月には3枚目のシングルが発売され、8月には2期生のオーディションが終わりデビューするという。




そして高校の入学式から1週間が経ち、学校は本格的な授業に入った。そして高校から入学した生徒が続々と部活動に入部してくる。とはいえ、この学校は一部の運動部を除いて、中高合同で行われる。かくいう俺も中学から引き続き、高校でも野球部に入部した。どうでもいい話だが、この高校の野球部は長髪OKらしい。


中学の部活を引退して半年以上、俺は高校でも野球を続けるつもりだったため、引退してからも週4回は自主的に練習をしていた。ツバキガールズのメンバーも年が明けると日に日に忙しくなり、土日はおろか、平日も仕事をする日が増えたという。


練習の内容は、高校の野球についていけるための体力強化がメイン。そして中学では軟式だが高校では硬式になるため、硬式球に慣れるための打撃練習と守備練習も行った。


3月下旬からは高校の野球部に合流し、本格的に高校野球の練習が始まった。中学の野球部からは俺を含め10人が入部するという。最初は高校野球についていくための体力強化だったが、事前に体力強化の練習を行っていたのが幸いし、意外と楽だった。




そして4月になり、高校から入学した生徒と女子マネージャーが入部した。これで1年生は20人(うち女子マネージャーが8人)。1年生が入部すると、学校の食堂で歓迎会が始まり、監督が挨拶した。


「私が監督の日笠ひかさです。この学校では主に日本史と世界史を教えています。さて、この野球部は20年以上前の東東京大会ベスト8が最高成績で、とても甲子園に行くようなレベルではありません。現に一昨年と昨年の夏は初戦敗退でした。この春の大会も3月末のブロック予選で敗退しました。しかし私が監督に就任して以来、退部者を1人も出していないのは誇りだと思っています」


続いて部長と副部長の先生、そして主将の3年生も挨拶をする。そして新入部員がそれぞれ自己紹介をする。


相川優あいかわゆうです。青教せいきょう学院中等部出身です。ポジションは内野です」


こう俺は自己紹介をした。自己紹介は五十音順で俺が最初だった。そして最後に女子マネージャーの自己紹介を行う。


「しかし、今年は女子マネージャーの新入部員が多いですね~」


と、部長の茅野かやの先生が新入部員全員の自己紹介が終わるとこう言った。この日は歓迎会が終わると解散し、俺は寮に戻った。まだ夕方の6時前だ。そして1時間後、レッスンや仕事を終えたメンバーが続々と帰ってきた。そして、


「そういえば優っち、野球部なんだって?優衣さんから聞いたよ」


と夕食時、松永がこう言ってきた。俺は「そうだけど」と言い返し、


「暇だったら試合見に行くわ。楽しみにしててね」


と今度は尾崎が言った。それに対し俺は、


「・・・どうだろうな。1年は相当な実力がない限り夏までは試合に出られないみたいだからな」


と言う。そして安達は、


「やっぱ優くん、かっこいいな・・・私も頑張らなきゃ!」


と言った。




そして数日後、俺は日笠監督に呼ばれて昼食後に職員室へ向かった。日笠監督は、


「相川、1年の中ではお前が体力も実力も抜いている。上級生にひけを取らない。それにお前、内野は全部守れるし外野もできるみたいだな。これからバンバン試合で使っていくぞ」


と俺に言ってきた。そして俺は授業が終わり、練習が始まるまでのわずかな時間、安達・松永・尾崎に、


「監督にこれから試合に使うぞと言われた!」


という内容のLINEを送った。そして3人からは、




安達「おめでとう。頑張って!」


松永「おめでとう!レギュラー目指して頑張れ!」


尾崎「この前高校生になったばかりなのにもう?すごい・・・」




という内容のLINEがすぐに送られたのは言うまでもない。

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