入寮!
8月下旬、俺・
引っ越し先は都内某所、実家から電車で約10分、駅から徒歩15分という場所にある25LDKで大浴場とプール付きという推定100億円の大豪邸だ。しかし、金の出処はどこから出た?そして、仕事柄自宅にいないことが多い両親はここに住まずに、俺と優衣姉・優里だけここに住むとのことだった。しかし、3人で暮らすには広すぎる。実家ですら4LDKだぞ。とはいえ、通っている中学の近くにあるのは助かるな。優衣姉も優里も同じ中高一貫の学校に通っているから、3人とも通学の手間が省けるのが幸いだ。
親父に言われた部屋に引っ越す作業を済ませると、優衣姉が夕飯の買い出しに出かけた。そして3人で夕食を食べる。そして夕食後、3人の部屋以外は空き部屋だと思い、部屋を回ってみた。しかし、部屋を開けてみるとどの部屋もすでに家具や荷物が揃っていた。そして、俺はこの事実を翌日知ることになる。
そして翌日、俺は優衣姉に起こされた。スマホを見たら、親父からLINEが届いていた。優衣姉と優里も同じ内容のLINEが届いていた。そして、親父からのLINEの内容はこうだった。
「今日から新人アイドル20人とお手伝いさん2人が今日からお前らの引っ越し先で生活する。夕方には着く予定だから今すぐ掃除をしろ。あ、夕食は作らなくていいぞ。夕食はもう25人分注文したから。それに22人分の家賃は全部お前らのものだから」
は?部屋掃除しろってこの家の広さどれくらいあると思ってんだよ。引っ越したばかりで綺麗とはいえ、ちゃんと掃除したら3人がかりでさえ丸一日かかるぞ。
俺たち3人は早速、家中を掃除した。結局午前中はすべて掃除の時間に費やした。そして昼食を食べ、再び掃除の時間に入る。
夕方、やっと掃除が終わったと思ったら、ちょうど女の子の集団が「こんばんは~今日からお世話になります!」と言う声とともにやって来た。
そして、その女の子の集団とともに親父がやってきた。
「優衣、優、優里。今日からここで生活する新人アイドル20人とお手伝いさんの2人だ。あ、このアイドル・ツバキガールズは全寮制だからな。ちゃんと全員いるぞ。じゃあ、お前ら頼むぞ」
と言って親父は去った。そして注文した夕食が届き、パーティーが始まった。
まずは俺・優衣姉・優里の自己紹介から始まった。
「相川優です。もうご存知かと思いますが、僕と姉の優衣、そして妹の優里の父親はSNミュージックの相川社長です。よろしくお願いします」
俺はそんな感じで自己紹介をし、優衣姉・優里も似たような自己紹介を行った。そしてお手伝いさん2人、
メンバーの自己紹介が終わり、メンバーとお手伝いさんはそれぞれ自分の部屋に行った。昨日使わない部屋を開けてみると、どの部屋ももう家具や荷物が揃っていたのはそのためか。そして俺は部屋に入るメンバーとお手伝いさんを見つつ、大浴場へ向かった。大浴場は一度に約30人が収容できる広さだ。
俺は風呂に入り、早いうちに風呂から出た。そして、俺が風呂から出て部屋に入るタイミングで、メンバーは一斉に部屋から出て大浴場に向かう。お手伝いさん2人と、優衣姉・優里もほぼ同じタイミングで大浴場に向かった。
そして俺はみんなが風呂に入っている間、一人自室に入った。
◇ ◇ ◇
大浴場では20人以上がほぼ同じタイミングで入った。しかし、大浴場は一度に約30人が収容できる広さだ。少し人口密度は高くなるが、風呂に入れないというわけではない。
「まぁ、私が寮母さんという立場でいいのかな?まだ高校生だけど。それに料理洗濯炊事は早川さんと尾関さんに任せているから」
優衣は20人のメンバーに向かってこう言う。そして、
「皆さんはいつデビューするんですか?」
と優里が言った。すると、
「9月上旬のイベントでファンにお披露目だから、その日かな」
とリーダーの
「そうなんですか。あ、皆さんは兄についてどう思ってますか?」
とメンバーに言った。すると、
「優くんだっけ?同い年だし仲良くしようかな。はっきり言って私のタイプだし」
とメンバーのセンター・
「・・・玲香、もしかしたら恋のライバルになるかもしれないわね」
と沙羅は小声で呟き、遥は、
「まぁ、うちは恋愛禁止だけどね」
と苦笑いした。そして玲香は、
「遥、沙羅!恋愛禁止なのはちゃんとわかってるわよ」
と2人にこう応えた。
◇ ◇ ◇
メンバーが一斉に大浴場へ向かってから1時間あまり、今度はメンバーがぞろぞろと風呂から上がったようだ。しばらくすると、風呂から出たばかりの優衣姉と優里がやってきた。
「優、玲香ちゃんがあんたを呼んでるよ」
と優衣姉が言う。そして優里は、
「遥さんと沙羅さんもいるよ。リビングに来てってさ」
と言い、俺はリビングに来た。
リビングに向かうと、風呂から上がったばかりの安達・松永・尾崎がすでにいた。俺は「他のメンバーは?」と3人に尋ねた。すると、「まだ大浴場に入っているか自分の部屋にいるわ」と尾崎が答えた。そして俺は、
「それより安達、俺に何の用だよ」
と言う。すると安達は、
「優くん、私と友達になってください!」
と言ってきた。そして松永と尾崎も、
「私からもお願いします!」
と揃うように言ってきた。しかし俺は、
「・・・ってもお前らアイドルだろ?恋愛禁止だろ?」
と言う。そして、
「でも、友達くらいならいいかな。これから同じ屋根で暮らすんだから。でも俺との友達付き合いはここだけにしろよな」
と言った。それに対し安達は、
「まぁ、私たちアイドルだからこれくらいのこと言われても仕方ないよね・・・」
と言う。そして松永は、
「と言っても、明日からはずっとレッスン漬けだから寮に戻る頃にはみんなバテてると思うけどね」
と言ってきた。
そして翌日からは松永の言う通り、メンバーはレッスン漬けの日々だった。レッスンを終え寮に戻るとみんなバテバテだった。食事や風呂どころではないらしく、みんなすぐに部屋に戻って眠ってしまうくらいである。俺は毎日のようにレッスンを終えた3人にマッサージをしていた。
そして9月になった。2学期になり、俺の学校生活が再開した。それと同じくして高校生のメンバーは芸能人がよく通っているという某高校に転校し、中学生のメンバーも近所の某中学校に転校したという。
入寮からおよそ2週間。その間、メンバーは近所のスタジオで毎日のように厳しいレッスンを行っていた。さすがに9月に入ると、学生のメンバーはちゃんと学校に通い始めたが、それでも学校が終わると近所のスタジオに直行し、数時間のレッスンを行い寮に戻るという生活を送っていた。
そして日曜日、ツバキガールズ初めてのイベントが行われる。
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