第239話 妖怪 足噛み

 階段の踊り場に妖怪がでるようになった。

 暗闇に溶け込むように潜み、通りがかりに足をカプッと噛むのだ。

 そう…黒い妖怪クロさんである。


 目だけ光らせて、ジッと僕が通るのを待つ。

 1段…1段…階段を上がって行くと…カプッと噛みつく。


 ひと噛みすると、トタタタと逃げていく。


 何かの遊びなんだろうか?


 リビングへ行くと、何事も無かったかのようにやってきて、毛づくろいをせがんだりもする。

『ニート…最近、階段に妖怪がでるようだが?』


 そんなことを話しているかのように僕を見ている。

『もういいぞ…またな』


 僕の手を噛んで、リビングから出て行く。


 そして、また階段で待っているのだ。

「困った遊びだ…」

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