第230話 毛繕いだ

『ニート、頼む』

 クロさんが無言でやってきて、目の前でゴロンと横になる。

 毛深いクロさん、夏はツライようだ。

 見た目以上にモサモサと毛が抜けるクロさん。

 やり始めると、つい力が入ってしまう。

「ブニャッ」

 カプッと噛みつき、僕の手を制する。

「ごめん、ごめん」


 ゴロゴロと身体を入れ替えて、アッチだコッチだとブラシを入れる。

「ヌニャッ」

 グーンと伸びて部屋を出て行くクロさん。


 一仕事終えたような右手にグーンと疲労感が残る。

「クロさん…疲れます」

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