第199話 ここで良かった?

 布団の上でチョビさんが眠る。

 身体を丸めて眠っている。


 薄い肌掛けを、そっと掛けてみる。

 普段なら嫌がるのだが、寒いせいか眠ったまま。


「ホントにココで良かったの?」

 時折思う。

 もっといい家の前に捨てられていれば…良かったのにと。


 なにも、僕みたいな最低の人間と暮らさなくても…。


 もっといい人と暮らせていれば…

「ごめんね…」


 そっと撫でることしかできない、自分が酷く惨めだ。

「それでも僕は、チョビさんとクロさんが傍にいてくれて、それだけで…でも、だから、ごめんね」


 起こさない様に、静かにバイト先へ向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る