第157話 クロさん躊躇する

 寒い夜、僕が帰ると珍しくクロさんが起きていた。

 金色の目が暗い階段の下で光っている。

 トントンと僕が自分の足を軽く音をたてて叩くと、トテテテと走って上がってくる…のだが…寒いのだ。

 階段の途中でピタッと立ち止まってジッと僕を見ている。

『ニート…遊びに行きたいのは山々だが、部屋は寒いのではないか?』

「クロさん、僕は今帰ってきたのです…部屋は寒いですよ」


 なんとなく目でそんな会話をした…ような気がした。

 しばしの時間、クロさんは考えた…そして

『今日は遠慮しよう』

 ゆっくりと階段を下るクロさん。

「春になったら遊びにおいで」

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