第45話 ただしトイレはバケツだけれど
バレンタインにはチョコではなく手作りで肉まんをあげた。思ったよりも作りすぎたので3食肉まんになって震えている。
そろそろ結婚記念日が近づいてきたので旅行でも行こうかという話になり、どうせなら行ったことのない海外でも行ってみようということになった。
実家にいた頃はブラキストン線超えたら海外だと思ってたよ…。
旅行で一番かかるものは宿代と移動費だ。安全が守られるのであれば、この2つは削れるだけ削るのが旅行の鉄則だと(国内旅行の経験から)私は思っている。そこで格安航空券を調べていたところ、佐賀から飛ぶ某春秋航空の旅よりも安い関空-成都のチケットを見つけた。
四川航空のバーゲン券だ。
100日前に予約したら往復990元(≒35,000円程度だと思われ)というべらぼうな安さにキャッキャしながら、「台湾じゃなくてこれなら大陸でもいいね。そういえば、前にチベットに連れていきたいとか言ってなかったっけ。成都から行けるの?」と夫に聞いたところ、行けると返ってきたのでチベットも候補にいれつつ検討することにしたのだった。人骨笛の衝撃がまだ抜けきっていないようだ。
「最初あなた、チベットは高地だしヤバそうだから男子だけで行ってきて☆とか言ってなかったっけ?」
「いやー、成都から足を伸ばして東チベットくらいだったらいいかも。宿とかちゃんと存在して、多少ボロくて時々停電とかしたり変な虫が出たとしても水回りしっかりしてて温水シャワーが出れば!」
「流石にあなたを連れてく時は一泊2,000円くらいのところにはするから。」
夫は隙を見せればすぐに宿代をケチろうとする系男子なので、海外初心者の私には高すぎるハードルの時がある。そのため保険をかけて最低限の希望をもりもりと詰め込んだコメントをした。流石に大陸の客桟(木賃宿)に連れていかれたりしたら色々と怖すぎる。
その回答がこれだ。
「ただしトイレはバケツだけれど。まぁ大丈夫だよ(死なないから)。」
うん、やっぱり行くの、よそう。
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