【3日目】死亡
「なんかすごいのが出てきたんだけど...」
橋本の言う通り、真っ黒で居て大きく、翼を持つ鳥...まさしくカラスのようなものに擬態していた。さっきのペンギンもそうだけれど共通して黒く、甲高い声で鳴いている。皆が呆気に取られている中、フィリアだけが真っ青な顔をして怯えていた。
「あ...あ...どうして...まだ2回目....」
両足を震わせながら、ブツブツと独り言を呟く彼女に対して他のみんなは気に掛ける事すらない。というよりもあのカラスを警戒して目をそらすことすら出来ない。
何をしてくるのか、何が起きるのかわからない以上、0.1秒の遅れが命にかかわるかもしれない。
教室は血肉や腐敗臭が漂っていて、集中力を欠けさせる。足元を見れば誰だかわからない死体や内臓が飛び散っている。僕たちもこうなるのではないかと連想させられる。
睨み合いが続く中、声を発したのは橋本と果歩、そして侑太だ。
「ねえ、あいつ何もしてこないよ。」
「うん、なんでかな。でも今のうちに私たちも回復しておきたい、能力使いすぎちゃったし」
「ああ、俺もそれに賛成だ。うかつに手を出してもカウンター能力を持っていてやられるかもしれない。」
だけど、それはフィリアが拒んだ。
フィリアの口からこれ以上ないくらい大声で皆に伝える、いや”叫ぶ”
「今すぐに全員で攻撃して!!!!!いいから早く!」
「急に大声出してどうしたんだよ!」
「何でもいいから攻撃してアレを止めて!」
先生も何か、思いつめた顔をしながらもフィリアの指示に従い木の破片を飛ばす。
果歩も何かを察したかのように、空中に飛んでいるカラスに向かい攻撃する。
カラスの巨大な羽に氷柱や木屑が刺さっているが致命傷には至っておらず、敵はまだ浮いたまま何も行動してこない。攻撃をされて反撃もないのは流石におかしいと気づいた侑太は、床に落ちていた刃物を敵に向かって投げる。
――僕は、達観してその現状を見ていた。何もしなかった。
多分、無駄なんだろうな。って心のどこかで思っていたから。
「『操作』を発動、寿命と引き換えに、時間を」
そこまで声が聞こえて、僕は、僕たちは闇に飲まれた。
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