第27話

「このイベントカードの効果! 対象の属性カードの戦闘力を3000引き上げる!」

「何!? 3000だと!」

「3000!」

「3000だ!」

「ん? でも、待って。確かロリ巨乳の戦闘力って6000だよね」

「ええ、そうよR子! そしてこのスーパービューティー! 追加効果は一切無し! 戦闘力引き上げカード!」


 SSR子は勢いよくスーパービューティーを捨て札に叩き込んだ。


「せ、戦闘力引き上げカードだと!」

「そうよ玉藻前! つまり!」

「つまり!」


 SSR子は両手を挙げ、勢いよく跪く。そして天を仰ぎ、腰から一気に崩れ落ちた。



「降参でーーーーーす!」




 SSR子は土下座をかました。

 すると弾かれたように、N子が動き、


「オイコラ馬鹿姉貴―――!」

「あぶーーー!」


 顔面直撃のローキックが入った。


「テメー何やってんだコラ―――! あんだけ盛り上げといて何で引けねーんだオイ! 何だったんだよあの光! どっから出たんだよ!」

「ちょちょ、痛い痛いN子! 蹴らないで! あのね、考えてもみなさい! あんな場面でたった1枚のカードを引くことがどんだけ難しいか分かってんの!? チートドローなんて存在しないの! 人は確率には勝てないの! 現実を見なさい!」

「ちなみに引けたら勝てるカードって何だったの?」

「え? そりゃあ、私のカード・『唯我独尊』。私の場にあるカード全てを破壊する代わりに相手のカードを耐性を無視して破壊するっていう効果……」

「引けてもダメだったじゃねーか! 思いっきり妹を生贄にしてるじゃねーか! 長女うんぬんとかぬかしてたアレは何だったんだオラー!」

「ローキック! ローキックやめてN子! だって主人公補正とクライマックス感補正つけてれば、大体引けるじゃない! 私の知識を総動員したチートドロー誘発の為の言葉だったの!」

「クズだコイツ! クズで雑魚で駄目だ、このSSR!」

「もう北欧神話に土下座して謝れ! 元ネタに、自分の存在を詫びろ!」

「SR子まで来ちゃったーー! 助けて、R子!」

「お兄ちゃん組むので忙しいから」

「R子―――!」


 こうして、SSR子の全員打倒の目標は。その第一歩で潰えたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る