Milky Way

脳内航海士

プロローグ


■ プロローグ



 私、織機姫香おりはた ひめかは、願いをくした。

 叶うことのない願いを噛み締めて生きることに、何の意味があるのだろうか。


  *


「間もなく、2番線を、列車が通過いたします」

 駅のホームに響くアナウンスが、遠く聞こえる。急行列車が近づいてくるのが見えた。

 ホームから線路のほうへ、足を進める。「危ないですから、 黄色い線の内側で……」という注意をよそに、点字ブロックを踏み越える。


 願いごとなんて何もない。私の願いは、結局何も叶わなかった。


 右足が、ホームの縁に届く。電車が警笛を鳴らして、こちらに迫ってくる。

 このまま左足も踏み出せば、私は──。


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