第1章 新たなる脅威
第1話 宣戦布告
「そっちへ行きましたわ!!お願いします!!」
全身が煌びやかな
「ゴールドラッシュ!!」
彼女が放つコインのつぶてから逃れる様に飛び跳ねたのは人の丈より大きなカマドウマ型のカキン虫だ。
ゲゲゲゲッ……
不気味な鳴き声を上げながら跳躍を繰り返していく。
「任せな!!アイビーネット!!」
森の精霊…『
指先から勢いよく伸びる数本の蔦が編み込まさって大きなネットを形成する。
ゲゲッ!!
カマドウマ型カキン虫はもろにそのネットに突っ込んでしまい
ぐるりとネットに包まれて身動きが取れなくなってしまった。
「今だツバサ!!」
「はい!!」
勢いよく茂みから空へ飛び出したのは背中に天使の羽根を持つ少女。
『
一年前…この異世界ファンタージョンを悪の魔の手から救った魔法少女だ。
右手に握るマジカルスティックの柄に嵌っているマジカルカードリーダーにマジカルプリカをかざす。
『カキーン!!ハイリマシター!!』
お馴染みの電子音声、ステッキの先端の宝石が光り輝く。
「スパイラルアロー!!」
空気が高速で集束し風の矢が出来上がり目にも止まらぬ速さででカキン虫に向かって放たれ、高速回転しながら突き進む。
ゲエエエエエエッ!!
見事蔦のネットごとカマドウマカキン虫を射抜く!!
大穴が空いたその身体は黒い粒子と化し大気中に掻き消えた。
「お疲れ様ツバサさん、ミドリさん、見事な手際でしたわ」
「金ちゃんもお疲れ様」
戦いが終わり三人の魔法少女達が集う。
「アタイたちの連携も段々と良くなって来たな…
こうもカキン虫が大量発生していると一度の戦闘に時間を掛けていられないからね…」
腕を組みながら空を仰ぐ『
そうなのだ…最近ファンタージョンでは急激にカキン虫が行動を活性化させており、出現回数もそうだが数も増えていた。
だから魔法少女達は引っ切り無しに討伐任務に駆り出されていた。
「…しかし気になりますわね…以前はこんなに首都であるミレニアンを集中攻撃してくることは無かったそうですから…」
確かに最近のカキン虫の行動は妙だ。
統率が取れている訳では無いのが、共通してここファンタージョンの首都であるミレニアンを目指して進撃してくる。
ミレニアンは円形の城塞都市だ。
周囲360度から攻められているせいで戦力は分散されるうえ
他の街や村へと続く街道も機能しておらず今は殆ど物流が止まってしまっていた。
これではまるで籠城戦だ。
このままでは食料が底をつき街は滅びてしまうかもしれない。
「本当に…どうしたらいいのかな…
最近暗い話題ばかり…今日はお姫ちゃんも何処かへ出かけているみたいだし…」
ガクリと肩を落とす『
戦闘続きで彼女は疲弊していた。
唯一の救いはファンタージョンに来れば親友である『
ツバサだけは親愛を込めて『お姫ちゃん』と呼んでいる。
ただ今日はいつもの様にチヒロの住まいにいっても彼女が居なかったのだ。
元のチヒロのマスコットで現『居酒屋
「お~い先輩方!!お疲れっす!!」
遠くから手を振りながら大声を張り上げ熱血野球魔法少女『
「…あんたってホント…無駄に元気が有り余ってるわよね…」
うんざりと言った表情で後ろに続くのはダウナー系雪女『
「いや~そんなに褒められると照れるっす!!」
「褒めて無いわよ…」
「まあそう言ってやるなフブキ、あやつのお蔭で作戦が早く終わったのは事実だ」
更に『
この三人も首都防衛線に参加しており『
「カキン虫の攻勢も一段落したようですし街に戻ってティータイムに致しません事?」
チヒロ以外のいつもの六人が集まった所で『
「ああ…それはいいな、アタイはもうのどがカラカラだよ!」
「それじゃあお姫ちゃんにも連絡はしておくね」
彼女たちがワイワイ言いながら城門から街に入ろうとしたその時…
物凄い地震が一帯を揺さぶる。
「うおっ!!何事だ!?」
「凄い揺れ…立っていられない…」
「あっ!!先輩方!!あれを見て下さいっス!!」
激しい揺れのさ中、『
すると遥か彼方の地面から先端の尖った何かが飛び出しているではないか。
その物体はグングンと天を目がけて伸び続けかなりの高さまで到達するとそこで止まった。
それと同時に地震も収まっていく。
「何だろうあれ…」
『
塔…と言っても差し支えない物だ。
ただそれは何処までも空に向かってそびえ立ち先端は霞んですらいる。
「おい見ろ!!そいつは一本じゃないぞ!!」
『
どれもかなり遠くにあるらしく実際どれほどの大きさなのか分からないが
恐ろしく巨大な構造物であろう事は想像に難くない。
「…また面倒な事になるのか…」
虚ろな目で深いため息を吐く
いつもなら『
何故ならここにいる全員がネガティブな思考に陥っていたからだ。
「…まさか『
「…奇遇だな…吾輩もそれを考えていた…」
六人は城壁を背にそれぞれのマジックデバイスを構える。
先の厄災の首謀者、『
「フフフフ……」
突如女性の甲高い笑い声が響き、同時に魔法少女達の眼前の宙に空間のゆがみの様な物が現れる。
それはやがて人型を為し一人の女性が現れた。
「これはこれは出迎えとは感心だな…」
尊大な態度の女。
全身を紅のラインが入った白金の鎧に身を包み幅広の剣を携えている。
足先まで届きそうな蒼み掛かった美しく長い銀髪、瞳は燃えているかのように赤い。
「…あなたは何者ですか!?」
宙に浮くその女性に向かってマジカルステッキとを向ける『
「無礼者!!余に武器を向けるとは不届き千万!!」
白金の女が掌をかざすと『
他の魔法少女達のマジックデバイスも次々と手から弾け飛ぶ。
「…つぅ…!!今のは一体…!?」
何が起こったのか分からずに狼狽える彼女たち。
しかしそれに構う事無く白金の女は口を開いた。
「余は『
『
今日は宣戦布告も兼ねて挨拶に参ったぞ!!」
尊大に腕を組み文字通り空中から魔法少女達を見下す。
その見開かれた真っ赤な瞳からは見る者を委縮させるほどの強い圧力が感じられる。
「宣戦布告ですって!?あなた達は何が目的ですの!?」
右手首を押さえながら、『
「答える義務は無いが…しいて言うならば人間と魔法少女の抹殺とでも言っておこうか…」
「何ですって!?」
全員に戦慄が走る…この『
「…だが今はまだその時では無い…言ったであろう?挨拶に来たと…」
彼女がそう言うとその後ろ側が先程と同じく空間が歪み新たに六人の人物が姿を現した。
皆一様に漆黒のフード付きマントを羽織っており顔は窺い知れない。
「フッ…今日は実に良き日だ…我らの新しき
腕を組んだまま大声で笑う『
そして隣にいる人物を自分の横に来る様に促す。
「紹介しよう!!新たに我が『
その人物が頭のフードをはぐる。
「ああっ…!!」
魔法少女達はどよめく…あの見覚えのある人物…それは…
「…『
両手を広げ空を仰ぐ『
「…そんな…お姫ちゃん…うっ…嘘だよね…!?」
『
「…嘘だ…そんな…そんな…!!嘘だ~~~~~!!!!!」
『
その様子でさえ『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます