私は出来のいい娘
昨年度、熊本震災をうけて、オバアチャンの実家が被害に遭い、しかも二度にわたる大地震に、細かい振動がずっと続いていたので、これでは安心してられない。すえの娘が提案したのを機会に家で彼女の面倒を見ることに。
初めは6月になって、被害状況がよくなったら帰る、と彼女は言っていたけれど、震度3程度の揺れがずっと続いている。オバアチャンはTV画面の上部に表れる災害情報を食い入るように見ている。もう、ずっと。毎日だ。
しかし、実家が半壊扱いになったことで、彼女は帰る気をなくした。娘が「6月に帰るって言ってたのに?」というので、最初から死ぬまで我が家にいてもらうつもりだったのだと言った。方便だったけれど、あながち嘘でもなく、母親の面倒を見るのは、できのいい次女である私の役目。
オバアチャンも頑固な性質なので、家ではあちこちと衝突していて、高血圧が悪化しないか心配だけど、娘が温厚な性質なので問題という問題はない。
それに私は忙しい。人生を家事一般で潰されるなんてごめん。働いて給料を払ってもらう。そうしているうち、いい仕事が回ってくるでしょう。
最近はプリン体とコレステロール値の問題で、粗食に甘んじてるけれど、いつかおお御馳走を食べて、ぽっくり逝きたい。ぽっくりというのが一番楽なのさ。
ああ……おやつを食べたいなあ。一日に200㎉までなんだよなあ。ちょっとならいいかな。なーんて、隠れて食べようっと。
このごろ娘が血液検査の結果を気にしてダイエットを始め、それに応じた食事を出している。
ところがオバアチャンが、大昔の人のセンスなので、あいさつ代わりに「体重は減ったとね?」と尋ねるので娘が私にやめさせてくれと言ってくる。自分で言えばいいのに。げっそりだ。
こないだのお盆に次女が孫を連れてきたときも、産後太り、躍起になって痩せようとしている彼女に向かって「太ったごたいね」と言って、雰囲気が悪くなった。
彼女は胃薬の副作用で太りやすいから、でも気をつけているのと口を酸っぱくして言いきかせたけれど「あら、そうたい?」という感じ。
姉の方が理解があって、次女がほっそりしてきたと思ったというから、言ってやってほしかったわ、という会話を車の中でした。
もう、孫も五人いるから一年中、やれ記念日だ、お祝いだと行き来はしているけれど、オバアチャンは連れていけないとたいねえ。黙っていれば品の良いオバアチャンなんだけど……。
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