Flowers
ソラリスさん
1. 薔薇と紫陽花のこと
poet:1 ハイド=レンジア博士の憂鬱
嗚呼、またこの季節がやって来たのだ。
僕は一層力み、自身を誇示し、そこかしこで愛を振り撒いて、誰かしこに色目を遣う。足を止める人も、そのまま歩き去る人も、全員に、平等に、愛を。
にこやかに笑いながら、愛想を振りまく僕は、その笑顔の裏で、毎回、嫌という程考えるのだ。
ーー皆、僕を求めているのだろうか。
刹那、瞬間的に、まるで煮えたぎるかの如く、かっと熱くなった僕の脳は、しかしながら、それとは裏腹に冷静沈着に答えを導き出す。
ーー僕自身が必要とされている訳ではないのだ。そう、まるで、鮮やかな色使いのスープで満たされた、ホワイトのスープ・ジャーの如く。
僕がそう纏めるのと、地面に落ちた自身の影が一番短くなる季節がやってくるのと、どちらが早いのか、解る前に、僕は毎回その短い命を散らして、皆の記憶から消え失せてゆくのだろう。
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