君は覚えているだろうか。僕は覚えているけれど。

齊藤パナマ

ソファの前

のらりくらりと瞬きしていたら午後になっていた

一人二人と昔の恋を思い出したら、コーヒーが冷めていた


ああ 時計を見るたびに雲が流れて

ああ めくれたページには跡形もなくて


頭の中から予想した通りの席順が

明日のバスへと吸い込まれていった


ああ 時計を見るたびに雲が流れて

ああ めくれたページには跡形もなくて


いっそのこと一緒に住もうかと言ってみたけど

kissの仕草も程度によりけり

メゾンの窓に映った顔は

手のひらサイズの陽だまり玩具


家の近くのあの店の オープン時間がやってきた

課題のセリフも100回唱えた


ああ 時計を見るたびに雲が流れて

ああ めくれたページには跡形もなくて


ソファの影が僕に届いたならば

そこだけ少し冷たくなるだろう

そのぶん明日は少し優しくなれるだろう

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