県民健康福祉村公園から猫が消えた日 1/2
県民健康福祉村公園から猫が消えた日
この『健康福祉村』には昔、海賊船のような大きな遊具があり、
幼い頃は親にこの公園へ連れて行ってもらうのが好きだった。
また、ローラーブレードの走行場や、ときめきげんき館(公園内の健康センタ)のプールに通っていた。
しかし、中学にあがった頃からこの公園に行く機会が少なくなった。
この公園の” 事件 ”を知ったのは、地元での会話からだった。
それは、『健康福祉村の猫が一夜にして姿を消した』という話題だった。
この健康福祉村は猫が多いことで有名だった。
原因としては、この公園に餌を与えにくるお年寄りが多いことや飼えなくなった猫を逃がしにくる人が多いということだ。
また、動物愛護団体との関係もある。
それゆえ、この公園の野良猫たちは毛並みがとてもつらやかで、人懐こい猫が多く一部の猫好きには有名スポットになるほどだった。
警察へと連絡を入れたのも保健所へ連れていかれたことを怪訝とした愛護団体のボランティアからだと、言われている。
当初この公園の猫は50匹以上いると言われた。
その猫たちが一夜にして姿を消したのだから、何らかの事件を疑われても仕方がない。
多くの人は、この猫たちは虐待に使われるために攫われてしまったと事件を推測した。
しかし、真実は分からず仕舞いで今に至る。
その時、ネットや巷では違う話が騒がれていた。
それは『猫は自分らの住みやすい世界へとワープした。』ということだ。
バミューラ海域じゃあるまいし、そんなことが起こるのかと疑いたくもなるが、50匹もの猫が一瞬で姿を消すことは可能だろうか?
犯罪グループのせいだとしても、その大量な猫を袋叩きにするために攫っていたらカメラか何かで気づくだろうし、ほぼ不可能に近い。
だったら、猫は他の事件に関わっているか、他の場所へと大移動をしたと考えるのが自然の原理ではないだろう?
結果がどちらにしても、猫たちがどこへ行き、今も生き残っているのであれば、結果を知りたいと願うばかりだ。
事件から5年以上が過ぎた今、一度この健康福祉村へ友人と共に訪れた。
以前ほどではないが、事件があったのが嘘のように猫たちはこの公園をワガモノ顔で闊歩している。
やはりというべきか、近づいても、カメラを向けても驚きも逃げもしない。
(それは誰かが猫に餌を与えたり、可愛がっている証拠だ)
この公園へは猫を逃がしに来る人間が後を絶えない。
それでも、保健所に連れて行かないでここへ連れてきたというのは、苦渋の選択の末なのかもしれない。
確かに、保健所へ連れていかれた猫の末路は先が見えている。
私の動物嫌いの父親が県の視察で『神奈川にある動物の殺処分を行う保健所』に行って以来、飼い犬にたいして「保健所に連れてくぞ」というギャグを使わなくなったぐらいだ。
だからといって、逃がすことに対して、是といっているわけではない。
野良になった猫が自力で生きていける可能性は『10%』以下という節もある。
元飼い主が殺したという事実は変わらないという自覚は持ってもらいたい。
残念なことにとに、公園の猫はまだ増え続け、ボランティアで猫の飼い主を探す愛護団体も未だに存在する。
猫たちが本当の幸せを手に入れるのはいつなのだろうか。
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