　ええ、はい。私が雲職人で。空にあるあの雲を作っとります。全国に何人もいますよ。空ってえのは広いですから。

　案外ね、違和感なく有るってのは難しいもんです。例えば、運動会の日だと雲一つない快晴が好まれるでしょ。それでも、夕方に差し掛かる頃にはうすーく、なびく雲が低い太陽にきらきらしてるのがいい。その案配はまあ、経験ですわな。

　作り甲斐があるのは夏の入道雲ですかね。真ッ白な、目が痛くなるほど眩しい雲は気合い入れて作らなきゃなんねえですから。

　夜の薄雲なんてのも好きですね。暈って言うんですか、月の周りで虹みたく七色に光るんです。

　ん、見てみたいですか。そう仰っていただくのが何より励みになるんですよ。

（300文字）

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