第1話

病院から退院してからもう1週間。

今は6月。今日からまた学校に行く。何ヶ月ぶりなんだろう。

いや、記憶喪失なんだから覚えてないか……

朝起きて制服を着て朝食を食べる為、自分の部屋を出て階段降りると

母が朝食を作っていた。父はどうやらもう仕事へ行ったらしい


『おはよう。未来。今、ご飯作ってるから少し待っててね』

母は目玉焼きと味噌汁を作っていた。ご飯は既に炊けていた


『あー、うん。ありがとうございます』

私は記憶が無いから、つい敬語を使ってしまう。

いや、多分だけど記憶があっても敬語を使ってたと思う。

だって、私は虐待されていたのだから。

記憶が失ったとしても体に傷があって壁には何かで殴ったような

痕跡もある。ここ1週間見ていたけどたまに父が言っていた。


『未来に記憶が無くてよかった…。』と。

まぁ、これだけじゃホントに虐待が合ったのかは分からない。

けど、私のこの傷とアザは……ね。

そういう事を考えていたら母が朝食を作り終わったらしく

皿に盛り付け、テーブルに置いていた。

私と母は無言で朝食を食べていた。


(はぁ…毎日無言だとなんか……なぁ)

など私は思っていたが母はどう思ってるのだろう……。

私はご飯食べ終わったので食器を片付けてリュックを背負い

玄関まで行き、靴を履いて出ようとした。

玄関を開けたら隣の家の飯島さんがそこに居た。


『あらっ!未来ちゃんおはよう〜。お母さん居るかな?』

飯島さんは1人で中学生1人と高校生2人を育てている

いわゆるシングルマザーだ。


『おはようございます。母は居ますよ、じゃあ私は学校があるので』

一礼して私は学校へ向かった。

飯島さんは一体、どんな用事があったのだろう。

まずあの2人は仲がいいのかな……よく分かんないけど

家を出て約10分くらいにある信号で私は止まった。

その信号は私が事故にあった場所らしい……

ここの信号は待ち時間が長いらしく私はぼーっとしていた。


『……い。……らい。』


なんか聞こえる……きっと気のせいだ。私に話しかける人なんて

居ないはずだし


『桜井未来!』

私は、はっとして声が聞こえる方に振り返った

するとそこには1人の男の子が居た。

その子は身長が私より高くて少し髪の茶色い子だった。

同じ制服……だ。と思っていると


『桜井〜大丈夫か?さっきからずっと立ってたけど』

ずっと立ってた?……あれ、いつの間にか信号青だ


『大丈夫です。ていうか、あなたは誰ですか?私の名前知ってるみたいだけれど……』

私は疑問に思ったことを素直に言った。そして不思議な気持ちになっていた。


『あー、覚えてないのも無理はないよ!だって俺今日からこの制服の学校に転校してきたもん』

この制服って……まぁ、そこは良しとするかほんとはダメだと思うけど。


『……それで誰ですか?あとなんで、私の名前を?』

この人……さっき私が誰ですかって言ったのに自己紹介しないなんて。

怪しい……この人怪しすぎる


『あぁ、やっぱり覚えてないかぁ…俺、芹沢洸って言うんだけど…。覚えてない?未来』

……せりざわこうくん…?誰だろ……とゆーか、呼び捨て!?


『ごめんなさい。私記憶失ってて覚えてないんです。』

芹沢くんは驚いたような顔をしていた。

そりゃそうだよね。知り合い(?)が記憶失ってて、挙句の果てに

自分のことも覚えてないんだもの。


『そっかぁ…記憶がないのか。じゃあ、こうしよ!

初めまして!俺芹沢洸って言うんだ。洸って呼んでくれて構わないから!』

彼はにっこりと笑って私に自己紹介した。

その笑顔をみて私は思わず


『あっ…。桜井未来って言います。……よろしく』

なんで私は自己紹介してるの!?ってなったけれど

多分その理由は……彼の笑顔なんだろうと私は一応納得した。

この人と居るとなんか変な感じ……嫌な気分ではないけど

私はそのまま彼と一緒に学校へ行った。

学校の昇降口まで一緒に行った。

彼は職員室に行かないとだったから下駄箱で別れた。

私は気にせず行きたくもない教室まで行った

別に、彼とは同じクラスではないと思ったから忘れることにした


『おはよう。』

そう言って私は自分の席へ向かった。


この時の私はまだ思ってもなかったと思う。

この先彼と一緒に居るなんて。

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