2人の自分①

 今日になってから一度としてイタイ言動で話さないうえ、少し顔色が悪そうな姉ちゃんと何かを隠しているかのように嘘を吐く異世界人マギレたち3人を見て何か良くないことが起きそうな感覚に陥っていると、僕らの通う学校の方から何かが崩壊するような轟音が聞こえて来た。


「明日夢」


「うん、行こう」


 僕は姉ちゃんカインに続いて走り出した。が、姉ちゃんの身体はたった数歩走っただけでその足を止めていた。


「姉ちゃん?」


「おい、身体の主導権を戻すなら一言言ってくれよ。


あ、ごめん。急がないとだよね。行こうか


おう、そうだな」


 姉ちゃんの身体は再び走り出し、僕はその背中を少し不安げに見つめながら追いかけた。


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