賢者の幸福①

「明日香、何をした! 出せ、俺をここから出してくれ」


 7月まで祝日が無いという知らない方が良い真実を知ってしまった5月中旬のある日、姉ちゃんの部屋から姉ちゃんカインの叫び声が漏れ出してきた。


「カイン、そんな大声を出してどうしたの?」


「明日夢、丁度良い時に来てくれた。助けてくれ。


ハァーッハッハッハァン。またしても成功してしまうとは、やはり私は天才だぁ!」


 狼狽える姉ちゃんカインと狂ったように笑うねえちゃんの切り替わりに少し笑ってしまいそうになりながら、僕は大きく溜息を吐いた。


「姉ちゃん。見覚えがあるんだけど、この魔法陣と光の柱」




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