【 孤高の花 】

誰にも触れられない場所に

花が咲いていた


切り立った崖の中腹

そこには

誰も登って来れない

誰も降りて行けない


そんな場所に独りぼっちで

花は気高く咲いていた


小鳥の囀りに耳を傾け

そよ風が頬を撫でていく

瞑想の空間がある

花は孤独を愛していた


それなのに

静かな日常が突然奪われた

乱暴な疾風が吹き荒れて

花びらを散らし

全てをむしり取っていった


切り立った崖の中腹

そこには

花は咲いていない

花のことを誰も知らない


たとえ形がなくなっても

『信念』と言う根が残っている限り

来年もきっと

あの花は

この場所で咲いているだろう

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