第20話見習い調薬士ユートのおいしいポーション屋さん....開店前に廃業
俺も生産がやりたくてウズウズしていたが、遂にその時が来た。
調剤に使う器具も、錬金に使う器具も全部揃っている。腕さえあればエリクシールを作る事も出来る凄い設備環境なのだ!....宝の持ち腐れここに極まれりとだけ申しておきます。
まずは、この畑で取れた薬草達を紹介しよう。
【薬草】品質 A+
主に、ポーションの材料に使われる。通常の場所で採れる薬草と違い、豊富な土のマナと世界樹の加護を受けた、清浄な土壌で育った為、非常に品質が高い。
生育環境の影響で、瘴気や毒素を浄化する力を持っている。
【解毒草】品質 A+
主に、解毒ポーションの材料に使われる。通常の場所で採れる解毒草と違い、豊富な土のマナと世界樹の加護を受けた、清浄な土壌で育った為、非常に品質が高い。
生育環境の影響で、瘴気や毒素を浄化する力が強化されている。
【魔力草】品質 S
主に、マナポーションの材料に使われる。通常の場所で採れる魔力草と違い、豊富な土のマナと世界樹の加護を受けた、清浄な土壌で育った為、最高に近い品質に育っている。
生育環境の影響で、瘴気や毒素を浄化する力を持っている。
おぉおおう!世界樹の苗恐るべし!国内有数の薬草生産農場になりましたね!
早速、薬草を使ってポーションを作ろう!
しっかりと洗って、泥を落とす。用意しておいた鍋に投入して、薬草から薬効を煮出す。
水の色が緑色になったら終了。火から外して、熱を冷ます。
【ポーション】 品質E 製作者 ユート
HP回復効果 +20 状態異常 毒(弱)を20%の確立で解除する。
非常に品質の低いポーション。効果も低く、薬草独特の臭いが鼻に付く、不味い
お....おおう。これはひどい...なんという材料の無駄。何が駄目だったんだろう。
「これはひどい。まるで僕が最初に作ったポーションみたいだね」
...君は!薬草握り潰して絞っていた筋肉戦士職人!...まだ居たんですね。
「何が一体駄目なんですか?レシピは合ってる筈なんですが?」
「ああ、生産技能持ってないよね?取得した?」
「いえ、持ってないです」
「君...何しに来たんだい?」「いや!お前が言うなって!」
もう一人の優しそうな生産職のお兄さん
「君は初心者だね?まずは、王国から支給されている。これを使うんだ」
スキルの書【初級生産者の心得】製作者 ナルシス
調合・錬金・鍛造・縫製・調理・採取のスキルを得る。
これで、パッとしなかったお前らも生産初級者に変身出来るだろう!美しい僕に感謝したまえよ?ふふん♪
....うぜー!ちょっと行ってバラバラに分解してきても良いですか?
「気持ちは分かるが、ここは我慢だ。こんな解説しといて、アイテム一つでスキル6つの詰め合わせは大きい。本来なら、失敗を繰り返して自力で取得する物だからな」
む...我慢して使うとしよう。
ユートは、スキルの書【初級生産者の心得】を使用した。
調合・錬金・鍛造・縫製・調理・採取のスキルを獲得した。
「後は、色々な場面でスキルがその都度、丁度良いタイミングをナビしてくれる。それと、メインの材料以外も、しっかりと鑑定して品質を確認するんだよ?」
なるほど、素材を選択して作成!のワンクリックでアイテムが完成していた時代とは。レベルが違うんだね。それならば、色々追求してみよう。
まずは、使用する水だ。
【きれいな水】 品質 C
王都で使われている、生活水。
井戸からくみ上げた新鮮な水、ひんやりしていて、美味しい。
なるほど、素材が釣り合って無い。俺の技術ではカバー出来ないだろう。
よし、保存庫から水を調達してきたぞ。
【精製水】品質 B
錬金術により、生産用に不純物を取り除いた水。
余計な物が入っていない為、薬効が溶け出し易くなっている。
ふむ、これが通常使われている水か、ならば!俺は更に水をカスタマイズしてやろうじゃないか!水の入っている容器を両手で包むと、大気からマナを吸収して、体内で練り上げた気をと共に水に流し込んでいく。
美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【精製水】品質 B+
美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【精製水】品質 B++
美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【精気水】品質 A 製作者 ユート
意図的に、水に気を混入して作られた水。飲むだけで回復効果がある。
使用者の体内にあるマナを活性化させて、健常な状態へ戻す力を高める効果がある。
HP回復+100 状態異常回復(小)付与 1時間 30秒毎に状態異常回復判定
美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【精気水】品質 A+
美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【精気水】品質 A++
美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【ユートのおいしい水】品質 S 製作者 ユート
ユートが大気から取り入れたマナとユートが練り上げた気をたっぷりと含んだ美味しい水。
美味しくな~れの思いと共に、際限無く凝縮されたマナと気が使用者を強力にサポートする。
HP回復効果 +500 常時回復(小)付与 1時間 毎分HP+50 力・体力・敏捷に+5の修正 1時間
状態異常回復(小)付与 1時間 30秒毎に状態異常回復判定
美味しくな~れ、美味しくな~れ。美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【ユートのおいしい水】品質 S+
美味しくな~れ、美味しくな~れ。美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【ユートのおいしい水】品質 S++
美味しくな~れ、美味しくな~れ。美味しくな~れ、美味しくな~れ。
【ユートの超おいしい水】品質 SS 製作者 ユート
ユートの思いの結晶。これ以上溶かし込めない密度までマナと気を凝縮した水?聖水?
使用者に幸福感を与える為だけに作られた水。(ポーションを作るはずだったのじゃ!どうしてこうなったのじゃユート!?)
HP回復効果 +1000 常時回復(中)付与 1時間 毎分HP+100
力・体力・敏捷に+10の修正 1時間 防御力に+20の修正 1時間
状態異常回復(中)付与 1時間 30秒毎に状態異常回復判定
うん、これで良いだろう!良い水が出来たぞ!完璧だ、完璧過ぎる!
(マスター、これを飲んだら良いのでは?)
え?駄目よ~....駄目駄目!これからが本番なんだから!
器にも拘ろう。ガラス容器なのは良いけど、これだと飲んだ気がしないな。
たっぷり飲めるように、500mlの容器を用意したぞ!
周りを気でコーティングして、壊れず・汚れず・品質を落とさない容器に加工する
次は味付けだ!(味付け!?おかしいのじゃ!)
気を込めて、思いを薬草に伝える
【薬草】品質 A+(え?イチゴ?)
君は今日から美味しいイチゴ味!君は今日から美味しいイチゴ味!
【薬草】品質 A++(イチゴ...甘い...)
君は今日から美味しいイチゴ味!君は今日から美味しいイチゴ味!
【薬草(イチゴ味)】品質 S 製作者 ユート
僕も今日からイチゴの仲間入り!甘くて美味しいよ!
【解毒草】品質 A+(レモン?酸っぱい)
君は今日から美味しいレモン味!君は今日から美味しいレモン味!
【解毒草】品質 A++(黄色い....酸味があって)
君は今日から美味しいレモン味!君は今日から美味しいレモン味!
【解毒草】品質 S 製作者 ユート
私も今日からレモンの仲間入り!ちょっと酸っぱい大人のビター!
【魔力草】品質 S(大人の魅力....甘いマスク)
君は今日から美味しいメロン味!君は今日から美味しいメロン味!
【魔力草】品質 S+(芳しい香りが魅了する...さぁ、おいで?)
君は今日から美味しいメロン味!君は今日から美味しいメロン味!
【魔力草】品質 S+ 製作者 ユート
俺も今日からメロンの仲間入り!甘いマスクが君を誘うよ!...今晩どう?
ふふふ、これで準備万端!パーペキだぜ!
(マスター....どこに向かっているんですか?)
まずは、下ごしらえからだ!
薬草を丁寧に一枚一枚茎から外して、軽く揉んで繊維をほぐす。
【ユートの超おいしい水】を火にかけて70℃まで加熱する....見える!見えるぞ!
そこだ!【薬草(イチゴ味)】を投入すると、世界樹の枝を使用してかき混ぜる。
すると、薬効が溶け出してイチゴの良い匂いが(薬草なのじゃ!おかしいのじゃ!?)してきた。
ちょっとクリス!うるさいよ?(のじゃ!?)
中から【薬草(イチゴ味)】を取り出して、しばらく煮詰める。
......今だ!鍋を火から下ろして、じっくりと冷ます。
冷めたら用意した容器に入れて完成だ!
【ユートの超おいしいポーション(イチゴ味)】品質 SS 製作者 ユート
HP全快 常時回復(大)付与 1時間 毎分HP+500
力・体力・敏捷に+15の修正 1時間 防御力に+30の修正 1時間
状態異常回復(大)付与 1時間 30秒毎に状態異常回復判定
飲むのが勿体無い位、超美味しいポーション!後味すっきりイチゴ味!
聖帝様も大満足の一品!
【ユートの超おいしい解毒ポーション(レモン味)】品質 SS 製作者 ユート
HP回復効果 +1000 常時回復(中)付与 1時間 毎分HP+100
力・体力・敏捷に+15の修正 1時間 防御力に+30の修正 1時間
状態異常無効 付与 1時間 瘴気分解効果 1時間
飲むのが勿体無い位、超美味しい解毒ポーション!飲み口すっきりレモン味!
レモンエンジェルも絶賛(未成年はググっちゃらめ)
【ユートの超おいしいマナポーション(メロン味)】品質 SS 製作者 ユート
MP全快 HP回復効果 +1000 常時MP回復(大)付与 1時間 毎分MP+500
力・体力・敏捷に+15の修正 1時間 防御力に+30の修正 1時間
状態異常回復(大)付与 1時間 30秒毎に状態異常回復判定
「スキル」魅了(弱)付与 1時間 モンスターは1分毎に魅了抵抗判定発生
飲むのが勿体無い位、超美味しいマナポーション!妖しい魅力のメロン味!
皆を魅了するメロン熊の如き威力!
・・・・パ-フェクト!これなら大ブレイク間違い無しだね!
俺はなんと素晴らしいポーションを作り上げてしまったんだ!
ピピピピピピピ
む?これは....個人回線?
「ユートさん、ゲームバランスを著しく破壊するアイテムクリエイションが確認された為、警告に来ました。」
「む?ユグドラシルじゃないか!良いポーションが出来たんだ!飲まないかい?」
「そのポーション?が原因です」
....何という事だ!美味しさを追求しただけでこの仕打ち....解せぬ!
「個人で使用するのはギリギリ許可出来ますが、販売・トレードは禁止させて貰います」
【ユートの超おいしいポーション(イチゴ味)】品質 SS『販売・トレード不可』
【ユートの超おいしい解毒ポーション(レモン味)】品質 SS『販売・トレード不可』
【ユートの超おいしいマナポーション(メロン味)】品質 SS『販売・トレード不可』
どど..どどど...どうしてそんな事するのかな!Elonaみたいに自由にしようよ!
フリーダム大切だよ!ミーティアだよ?汚物は消毒だよ?実家で核を使おうよ!
「個人的な使用だけでお願いします。王城の宝物庫に入ってるアーティファクトレベルです。安価で販売して常用されたら、物価やらバランスやらが崩壊するので駄目!絶対です」
仕方ない、ユートの美味しいポーション屋さんは諦めよう。
「おい、あの超常現象を発生させて、化け物みたいなアイテムを量産してる少年は誰だ?」
「今回のクエストを指揮してるユートっていうプレイヤーだよ」
「さっき調薬始めたばかりだよな?ああ、何か不思議な呪文を唱えて光りだした」
「美味しくな~れって言ってるぞ?」
「意味が分からん!あんな生産の仕方してる奴見たことが無い」
「いいから、テーブルの上に置いてある、光ってる容器の中身を鑑定するんだ」
!!!!!!!?
「「「「「見なかった事にしよう!」」」」」
こうして、俺の生産者?になる野望は、生産物が発禁になるという斬新な結果により断念することになった。
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