第10話 それは違う。

俺は教室に戻り山寺達の方を向いた。


正確に言うなら山寺達の方にいる大鳥の方を見ていた。


「パシリ君ありがとね~!」


「え、うん。そうだね。」


大鳥は何処か装った顔で返事をした。


空っぽだ。あんなの上部だけ……。何も言わない、言えない、言わせない、そんな関係に何の意味があるんだよ。


その時チャイムが鳴り西ノ宮先生が入ってきた。


「ホームルームを始めるぞ!まずは今週の土曜日にある体育祭についての話だが、出たくないやつがいるならここで言え。」


教師がそう言うこと言っていいのか?


「おい。伏見お前は出たくないだろ。」


はい。指名が入りました。


「出なくていいなら、出ませんけど。」


「そうか、じゃあ伏見以外は皆出ると言うことで決まりだな。」


俺は初めからでないって決まってたんですね。


「じゃあ、授業を始めるぞ。」


……………………………………………………


「ねぇ、大鳥君の事どうにかするつもりでしょ。」


その前に何故ここにいるの?


「お前は俺のストーカーなのか?」


「そんなわけないでしょ?質問を質問で返さないで!」


大鳥か、どうするかな。


何か手はないのか?イベント事とか…。


「そうだな。どうするかな。」


「はぁ。私も手伝って上げるわよ。」


「ん?今なんて言った?手伝う?何を?」


「だから!大鳥君の事を手伝って上げるわよ!」


「お、おう。わ、わかった。」


ふん!と、清水はそっぽを向いた。


とは言うものの、何をするか決まってないんだよな。


そんな事を考えていると昼休みはあっという間に終わっていた。


……………………………………………………


結局何も思い付かなかった。


買い物をしながら俺は大鳥の事を考えていた。


まずは、大鳥を説得しなくちゃ何だよな。


今日は肉じゃがにしよ。


…………………………………………………


家に帰ると、何故か父親が待ち構えていた。


「おい!どう言うことだ!」


「何がだよ!?この親バカ。」


「あ、えっと、こんばんは伏見くん……。」


親父の後ろから清水が顔だけ出てきた。


「な、何でまた清水が居るんだ!?」


「あ、お兄ちゃん!また清水さんとご飯が食べたくて読んじゃった!」


下を少し出しながら言ってきた。


「可愛いけどダメです!」


ホントに可愛いな!妹じゃなければ嫁にしたいくらいだ!


「やっぱり帰るよ。流石に昨日の今日で悪いしさ。」


「いや、大丈夫です!お父さんいいよね?」


妹達が上目遣いの涙目で親父に訴えた。


「おい!私の可愛い娘たちをいじめるな!」


「はぁ~。もうわかったよ。好きにしろ。」


妹達は喜びはしゃいでいた。


「それよりも何で親父が居るんだ!」


「そんなの息子の彼女が来たんだ!帰ってくるに決まってるだろ!」


「違うぞ!」


「違います!」

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