第8話 私達のお兄ちゃん(*^ー^)ノ♪

さて、カレーでも作り始めますかな。


俺がカレーを作ってる間に清水と妹達が何かを話していた。


……………………………………………………


「で、清水さんはお兄ちゃんとどんな関係なんですか?」


この子達はいきなり何を聞いていてるの!?


「どんなって、どうなんだろうね。」


「誤魔化さないで下さい。」


真剣な眼差しで私を見てくる。


「お兄ちゃんは多分人付き合いが苦手だと思うんですよ。だから清水さんと話してるお兄ちゃんが以外なんでよ。」


確かに人付き合い苦手そうだ。というよりは伏見くんは人を嫌ってる感じだな。


「そうだね。真剣に答えるけど私たちは多分まだ知り合い程度だと思うよ。」


「そうですか。知り合いですか……。」


妹ちゃん達は少し考え込んでいた。


「あの…お願いがあるんですけど、いいですか?」


「ん?何?出来る限りのお願いならいいよ。」


妹ちゃん達が私にお願いか。なんだろう?


「私達思うんですよ。お兄ちゃんが何で人付き合いができなくなったのかって。」


「元々人付き合いが出来なかったんじゃないの?」


「そんな事ないですよ~!」


妹ちゃんの方も話しに入ってきた。


「お兄ちゃんは元々物凄い人付き合いが良かったんです。友達もいたし。」


「嘘だ!?あの皮肉れボッチが!?」


「言い方ひどいですね。」


は!つい口走ってしまった。


「それでですね。話を戻しますけどお兄ちゃんが人付き合いが悪くなった原因何ですけど多分私達や周りのせいだと思うんですよ。」


「何で?」


姉の方が少し落ち込んでしまった。


「私達が小学校5年生の時にお母さんが他界したんですよ。」


母親が…。私にはわからない話だ。


「その時にお兄ちゃんは一度も泣かなかったんですよ。私から見たらお母さんが死んだのに悲しまないお兄ちゃんがどうしても許せなかったんです。」


「そうなんだ。」


伏見くんが悲しまない理由か……。


「でも、今思えばお兄ちゃんは悲しめなかったんじゃないのかなと思って……。」


「どうして?」


「最初に言いましたよね。私達のせいだって。お父さんは仕事に打ち込んでしまった。私達は悲しんで何にも出来なかった。」


「だから、私達が、周りが悲しんでるせいでお兄ちゃんは家事や私達の面倒を見なければいけないので悲しむ隙がなかったんですよ。」


ふと、妹ちゃん達が顔を上げた。


「だから!清水さんは特別なんです!あのお兄ちゃんが家族以外を家に上げることはなかった!」


「そう、清水さんはお兄ちゃんに取っての特別!だから、私達が出来なかったこと、それは……。」


「私達のお兄ちゃんの悲しみの捌け口になってほしい!言ってることが最低なのはわかっています!」


「ですけど!こんなことはなかった!だから、どうか、お兄ちゃんの側にいてほしい!高校の間だけでもいい!」


「「お兄ちゃんの友達になってあげてください!」」


二人は交互に話続けて、最後は二人一緒に言ってきた。


これは、この妹たちの込み上げてくる伏見くんへの思い。


自分達では足りないと、踏み込めないと、家族だけど人に頼るしかないと、もうあの兄には私しか、いないと、そう、この妹たちは私に告げたいのだろう。


だけどね。


「多分だけどね……。伏見くんは貴方達にも踏み込んで欲しいんだと思うよ。」


「「え!?」」


「伏見くんはさ、君達が言うように不器用なんだよね。だから家族でも伝わりにくいんだよ。」


そう、これは他人だからわかること。


「伏見くんがね。妹ちゃん達の話をするときに必ず笑うんだよ。満面の笑みでね。」


それを聞いた妹ちゃん達は顔を伏せ涙声になっていた。


「そう…だったんだ。」


「私達がそれに気づいてあげられなかったんだ。」


「そう、だからね!私だけじゃなくて妹ちゃん達も…いや、妹ちゃん達が近づいてあげなくちゃ!」


我ながら良いこと言った気がする!


「ありがとうございます!やっぱり清水さんを呼んで良かったです。」


「それとね!妹ちゃん達に言われなくても伏見くんは私が捲き込むから大丈夫だよ!」


そう言うと妹ちゃん達は笑った。


「ふ、ふ、そうですか!じゃあお願いします!お兄ちゃんの事を。」


「私からもお願いしますね、あのお兄ちゃんだけど!」


「うん。こっちこそよろしくね!」


私達はその時一緒に盛大に笑った。


「おい!ご飯できだぞ!運べ!」


「「は~い!」」


こうして私達の秘密の相談が終わった。

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