(短編)ラバーファマー現る! 現る!
ジャン・幸田
第1話・遭遇
今年もやって来た梅雨! 雨が降るのは鬱陶しいけど、雨が降らなきゃ作物は育たないし、夏に水不足だということで断水になるのもごめんだからある程度降らないといけないのは分かっている。でも、湿った天気は嫌だ! それに雨は鬱陶しいんだ! だから嫌いだ!
なぜそこまで嫌うかというと、通勤のために電車を使っているんだが、自宅から駅までは田畑に住宅が点在している田舎道を自転車で行くのに雨の日は面倒くさいからだ! 合羽を羽織って自転車のペダルを踏んでいったら汗で蒸れるし、とにかく気色悪いから! そうそう自分は高校を出たばっかりの工員で自動車を買えばいいんだけど免許に落ちたのでそのままであった。
それはともかく、ある雨の晩のことだった。その日は残業で遅くなりあたりが真っ暗になってしまった。そんな日は男であっても心細いというものである。早く帰らないといけないということで気持ちははやっていた。そんな時、暗闇で動く人がげを見つけてしまった。その姿は・・・人間には見えなかった。でも美しくも見えた。
その日は土砂降りで傘だけでは全然防げないぐらいの横殴りの雨粒で容赦なくズブ濡れになっていた。こんなことなら雨合羽を持ってくればよかったと後悔していた。天気予報を見ていなかったのが悪いと諦めていた。
梅雨時には田植えも終わっているし一通りの野菜が植えられているので、田畑は若い緑で覆われていたが、そんな畑の中を動く人の形をした何かがいた。そいつは・・・真っ黒だったので雨合羽を着ているのだと思ったが、よく見ると・・・ボディラインにしっかり張り付いていて、しかも・・・頭はガスマスクしていた。こんな田舎には存在しないはずの・・・
その人の形をしたなにかは、こんな雨の中を農作業しているようだったが、何故こんな服装なんか? 恐怖心とともに好奇心も出てきた。それで恐る恐る近づいてみる事にした。
そいつは華奢なボディをしていて、表面には金具がいっぱいついているようだった。しかも女のようだった! まさか女が農作業? というのも、この地域で農作業している女といえば中高齢者が大多数であるので、変な想像をしてしまった。
アラフィスのハイミスの女が、雨を防ぐためにゴムの服を着て、しかも顔が見えないようにガスマスクをしている・・・では、中身はなんだ?
そう思ったので尋ねてみる事にした。それにしてもなんでこんな服装をしているのだろう? 目の前のゴム服いやラバースーツを着た奴に!
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