【掌編】古本店の妖精(ふるほんやのようせい) (小三に読んで欲しい小説イベント)

 古本屋ふるほんやには妖精ようせいきます。神保町じんぼうちょうでも梅田うめだでも、古本ふるほんあつかうおみせならばどこにでもきます。私は実際じっさい姿すがたたことがないので、もしもっているひとがいたらおしえてほしいとおもいます。

 妖精ようせいたちはおもつまいしてごします。ばんだ手垢てあかや、うっかりこぼした chocolateちょこれーと斑点はんてんや、かえそうとしてったぺーじあとべます。わたしっている妖精ようせいは、附箋ふせんがしたあとの化学糊かがくのりあじきだといました。でも、附箋ふせんそのものは不味まずくてべられたものではないらしいです。

 つまいにきたら、ほんめくってあそびます。コムズカシイ文章ぶんしょうむことをこの妖精ようせいもいますが、大体だいたいほん時間じかん探検たんけんします。奥付おくづけ書誌情報しょしじょうほうのぞいたり、はさんだままになっていた新刊案内しんかんあんない冊子さっしながんだり、帯紙おびがみ宣伝文句せんでんもんく復唱ふくしょうしたりします。ぬし同様どうように、ほんにもきてきた時間じかんがあります。

 妖精ようせいたちでなくとも、わたしたちはほんこえくことが出来できます。妖精ようせいたちの真似事まねごとをして、ほんをよりたのしもうとすればいのです。

 すると、たのしい気持きもちが、こころからふわりとただよいます。あのなつかしくていとおしい、しあわせなほこりっぽいにおいが、あたりをゆっくりとつつむのです。

 是非ぜひともに、つぎのおやすみには古本屋ふるほんやあそびにってください。そして、なにかしらのほん一冊いっさつって、こういかけてみてください。

「もしもし、あなたはどこからたのですか」

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