第428話多数決では決められない

今日は半年ごとの膀胱鏡検査の日です。

手術してもう4年目になります。

検査の後は私は血尿が10日ほど続きます。 

「現在も膀胱炎が続いているようですね。抗がん剤の影響がまだあるようです。でもそれだけよく効いたのでしょう」

この先生はもう2代目になります。

その後大川沿いを歩いてNPOに出かけます。

今日は臨時の理事会が開かれています。

「どう?」

「なかなか難航しているようです」

編集長がパソコンでフリーペーパーの校正をしながら私を見ます。

「膀胱がんの再発は?」

「今回もパスですよ」

「理事会でNPOの移転が否決されることはあるのですか?」

「理事長が頑張って助成金が取れたら移転ができないことはないと思うな。読者アンケートはどうだった?」

「8割は賛成です。どうしても今の教室と貸農園への30分の移動は大変ですし、作物を毎日管理したいのが多いですね」

「それに反対派はNPOの将来の運営に具体的な計画がないのですよ。わざわざ今利益が出ているのに金をかけてもと言うのが柱ですからね」

「でも多数決では圧倒的に不利ですよ」

「これには理事長に最後の手を教えましたよ」

これは夜に理事長から話があったのです。

「最後の手?」

「この時期に代わりに理事長をされる方はいないと思いますよ。多数決で決められない場面なんです」

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