第394話相手の心を読む

編集長が葡萄園坂で足をくじいて昼から杖をついての出社です。

それで急遽私がバトンタッチで彼女の半年越しのクライアントに行きます。

同行は一番女弟子です。

地下鉄で今までの交渉経過を読みます。

ここは1年前に農村レストランで記事を書いた先で、どうも料理のシリーズを頼んでいるようです。

「今日は編集長は?」

思ったより若い女性です。

「私は3年前までは食べ歩き専門でしたが、思い切って古民家を買い予約だけのレストランを開きました。予約が入らなければ休みで、週に3日しか開かない日もありますよ。土日は休みます」

「裏で畑をされているのです」

一番女弟子がフォローをします。

「どちらかと言うと畑で出来たものでメニューが決まるのです」

「昔の食べログを見てみましたが、料理が好きなんですね?」

「アルバイトをしながら食べ歩きを続けました。撮るだけで我慢できなくなっていました。それで家で再現をしてました」

「土日のうちの半日をいただけませんか?」

「それは大丈夫ですが?」

一番女弟子は私の指示でその間録音テープを回しカメラを撮りまくっています。

「実験的にNPOで料理教室をしませんか?まずお互いが無理のないように1週間の土日で2時間程度、10回ここから始めませんか?」

「名のない私で募集できますか?」

「募集はこちらの責任でします。ところで教室と同時進行で記事のシリーズも頼みます」

自らの利益ばかり見ないで相手の心を読むことが大切です。

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