第353話元も子も
「ご無沙汰しています」
「いえどうされているのですか?」
前の会社のメインバンクの部長がソファに招きます。
「あれから透析をしてまだ労働裁判を続けています。ようやく次の目標が見えてきました」
とシニアNPOの室長の名刺を出します。
「それはよかったですね。でもあの会社もあなたが融資の見直しをされた頃は見込みが出てきたと思いましたが」
「今はどうなんですか?」
「銀行が分からない専務がリスケを申し出て・・・。あなたが辞められて2年で総売り上げが半分まで落ちましたよ。その時期に飛んでもないことを専務が提案してきたのですよ」
そう言って1枚の紙を出してきます。
「まさか社長が抜ける別会社を作るのですか?」
「専務にも注意したのですが彼は銀行が分かっていません」
「これはどう見ても社長が逃げ出すとしか見えません。でも銀行は最低社長の連帯保証を付けるでしょうね」
「それではすみません。審査部は融資を完全にストップ、この時点で一括返済を要求しろと言ってきています」
「他の銀行は?」
「こちらを見ています。どう思います?」
「この会社は私が財務チェックした時点から総売り上げの5倍もの融資を受けていて、このままでは相当の負債が残ります」
「私もそう思います」
「銀行は社長の隠し資産を抑えれるかが勝負ですね」
私も労働裁判に勝っても会社が潰れたら元も子もありません。
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