第342話盗賊の集まり

「そんなに出歩いていて大丈夫なの?」

女房は最近あっちこっちに出かけている私を心配して声をかけます。

「何とか収入に繋げないとな」

と言っても一歩一歩です。

今日は久しぶりに居酒屋で相棒の部長と会います。

「失業保険を貰ってるのか?」

「いえ。解雇なので3か月待ちですし、それでは食べていけませんわ」

「裁判の方はどうなの?」

「ほぼ完敗ですわ。専務の労働裁判は?」

二人は今でも昔の専務、部長と呼び合うのが抜けません。

「ようやく第4コーナーに入ったところだよ。相変わらず後出しじゃんけんのような解雇理由を出し続けそれを一つづつ潰して行っている。気の遠くなる作業だ」

「総務部長が?」

「裁判は専務に移行したようだな。不動産部長とは?」

「腐れ縁です。最近はホテルの襲撃をした男がいつの間にかホテル事業の責任者ですよ。この男から金を抓んでいるようですわ。折角専務が不正をチェックしていたのを総務部長は運営できなくてその男がせこせこ抜いているわけです。部長曰く月に300万は抜いていて、総務部長も20万貰っているようです」

「盗賊を飼っているようなものだな」

この会社はやたらと裁判をしますが、社内はガタガタなのです。

労働裁判に勝っても会社が潰れては・・・。

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