第163話内部抗争

部長からの連絡は途絶えたままで日にちだけが過ぎます。

一人っきりの一般裁判になるということで、もう一度労働審判の書面の見直しをしています。

本当に労働審判を選択してよかったのだろうかと反省の念が湧きます。

「今手が空いてますか?」

ホテルの社長からの携帯です。

「労働審判から一般裁判になりました。部長だけが和解になりました」

「やはり。昨日午前中に本社の社長に呼ばれて社長室に行きました。解任ですよ」

「何か条件が出たのですか?」

「向こうの用意した詫び状にサインをしたらと言われましたが、この社長は信用できません。そしたらあっさりと解任です。ものの10分で終わりです。会社の借り入れの10億の損害賠償をすると言われました。出来レースですね。それより社長室を出たところでばったり部長と会いましたよ」

「社長と会う予定?」

「いえ、あの不動産部長と別室で話していたようです。これは今私の代わりにホテルを管理している元専務に聞いたのですが、彼は総務課長に誘われて運送会社の社長を専務に押して不動産部長と揉みあっているようですよ」

「部長は不動産部長に甘い話を入れられた?」

「かもしれません。私は今回で人が信じれなくなりましたからね」

まだ後釜の専務が決まらなくて内部抗争が続いているようです。

相変わらず総務課長は間に入ってこそこそしているようです。

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