第149話暴対室取り調べ1日目
しばらくシニアNPOの職業訓練に平凡な日々が続いています。
そんな時は年金を受けるにはまだ2年という不安定な立場が気になります。
弁護士は4か月足らずで労働審判の決着がつくように言っていますが、会社の姿勢を知っている私は想像がつきません。
申立書は相棒のと合わせて地裁に提出されたようです。
「急なお呼びですんまへんねえ」
そうです。今朝、職業訓練に行こうと玄関で靴を履いていたらY署から携帯が入ったのです。
「知能犯の刑事さんではないのですか?」
「いや、今回から忙しいので私が手伝います」
丸刈りの坊主頭の若い刑事で、暴対室の小部屋に案内します。
「規則やから、鞄の中を見せてもらいますよ」
嫌な感じです。
「ホテルの社長を被告として取り調べを始めたよ。どうしても彼奴は黒やね。その彼と証言が近いあんたももう一度洗い直しですわ。明日も来てもらいますで」
机の上にY署とH署の知能犯刑事の調書とホテルの社長の調書が積み重ねてあります。
「会社からはホテルの社長と組んで会社の乗っ取りを企んだとあるが?」
「そんな事実はありません」
「本社の総務課長がそう言ってたよ。それにホテルの支配人もさあ」
「証拠を見せてください」
そう言いながら急に膀胱がずきずきと痛みだしました。
「トイレに行っても?」
「ああ、今回は縄をつけないでいいよ」
これは明らかに黒から入っている!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます