第147話解雇理由の証拠が出てこない

ハローワークに異議申し立ての返事が遅いので連絡を入れました。

「もう10日前に申請却下になってなっていますよ」

何とも残酷な冷たい返事でした。

懲戒解雇になってこうも行政があてにならないことを知らされました。

もちろん不当解雇も自分で粘り強くやるしかないと腹をくくりました。

職業訓練の後、弁護士を訪ねます。

「一応申立書を作成しましたが、何点か質問があります」

解雇になって4か月も経過しています。解雇理由書が遅れたのです。

「まずどうして懲戒解雇になったのかがよく分かりません」

「それは解雇理由書に書かれているのではありませんか?」

「だらだら書かれていますが、懲戒解雇に該当する文章を集めているにすぎません。具体的な証拠が何一つ出ていないのです」

「またおいおいと出してくるのではないのですか?」

「労働審判では原則3回の期日で終わるので、他の裁判のように後から証拠を出してくるわけにはいかないのです。そうしないと審判が下されてしまいます。今出てるものについてはすべてこちらは証拠提出できます。何か隠しているものがあったら教えてください」

「前にも言ったように直接社長から懲戒解雇を言われたわけではないのです。社員同士の足の引っ張り合いで交渉してきた不動産部長ではない総務課長が懲戒解雇の通知を持ってきたのですよ」

裁判をする。これがこの会社の作戦です。

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