第85話抜本的なてこ入れ

今日は相棒を連れて社長室に呼ばれました。

今日までに社長には10数枚の報告書と提案書を送っています。

今回も専務も息子も入る様子はありません。

だが周囲は聞き耳を立てている雰囲気です。

「どうだ。少しは役に立っているか?」

「ええ、助かっています」

二人になったことで精神的に楽になりました。

「ところで新会社の必要なのは分かってきたが、どうしてそんなことになってしまっていたんだ?」

やはり提案書には目を通してもらっていたようです。

私は前の会社からできるだけ単刀直入に話を進めるようになりました。

生え抜きではないので、調和より実績を上げる方に力を入れるようになったのです。

「今の社長になる前もホテル経営については手堅くされていましたが、その前の社長は新たにお金をかけない売り上げアップに徹していましたので、儲かるホテルと儲からないホテルが極端になっていたようです」

「それは昔から苦情を言っていた」

「今の社長は儲からないホテルのテコ入れをしています。それで全体の売り上げは伸びていますが、工事代等の経費が伸びていて赤字が続いています。それと税務対策が全くされていませんし、ほとんどのホテルがボイラーの入れ替えの時期に来ています。いまのこの会社の仕組みを一つずつ改修するより思い切って運営会社を新会社にする方がリスクと時間がかからないと思います」

「分かった新会社を作ってくれ。司法書士をを回そうか?」

「いえ、会社はよく作っていたので自分でやります。ポイントだけ了解を入れますので判断してください」

社長室を出ると、相棒はトイレを心配しています。

2時間は持つという自信が持てるようになりました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る