第83話会社の実態

相棒の机と椅子とパソコンを中古で間に合わせて仕事開始です。

彼は本社にいて余計な雑音が入っているので、最初に本音の話をしておこうと決めました。

「まず女性陣だが」

「あまり仕事をしないと評判ですよ」

彼も思っていることを素直に口にします。

「ところが本社の女性社員よりよくやっている。仕事量もこなしているな。問題はホテル事業の幹部とは意思疎通がない。だから何のために今の資料を作っているかとは無縁だ。朝会を始めて全体の流れが見えたと言っている」

前の会社は逆に女性の活躍が凄い会社でした。

まだそのギャップが残っています。

出来るだけ今の会社の現状を話しています。

「社長は?」

「現場はよくこなしていますが、社員の使い方が分からないようです。事務やマネージャーの経験がないので、自分が与えた仕事の難しさが分からないのです。社長夫婦は資金繰りでほぼノイローゼ気味でしたよ」

「そんな風には聞いていなかったですよ。ぼろ儲けみたいな話でした」

「いえ、逆に倒産すれすれですね」

「実は僕も経理は疎いのです。ここにいる時教えてください。でも本社の社長も分かってないのですか?」

「実は最近までみんなと同じ情報しかなかったようです。今は少し分かってきたかなと思いますが、どうしても家賃と融資の返済が入ってきていたらもういいという考えです」

「よくないのですか?」

「実は今まで工事代や設備費で出してきた10億の半分が家賃と返済金に化けています」

「へえ!」

でも彼に話すことでストレスは減るようです。

ついでに膀胱がんだったことを話しました。ただ腎不全までは話さないでいました。

そこまで話すと仕事を続けられないという印象を与えたくなかったのです。

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