第53話出向

何故だかスーツ姿が怖い感じです。

朝挨拶をしても誰も顔を背けます。

病気で休む経験が薄い私にはショックです。

リクルートでは有休を一度も取りませんでした。

机に向かって、パソコンに電源を入れましたが、うんともすんとも言いません。

「ああそれは新しい社員に回しますから。社長室に入ってください」

総務課長が当たり前というような声で答えます。

ノックして、社長室に入ります。ここに入ったのは数えるほどしかありません。

珍しく専務が早く出社して椅子にかけています。

いよいよ退職勧告か!

「息子からも相談があって、ホテルの方の会社にどうかなと思っているが?」

意外な話です。

「前に会った社長は歓迎しているそうだよ。出向になるがいいかな?」

「はい。いつから?」

「しばらく息子から引き継ぎを受けてからだね」

1時間半が過ぎてトイレが我慢できなくなってきています。

ここは膀胱トレーニング、我慢我慢です。

それよりもう少し働ける!嬉しいことです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る