第3話カルシウム

翌日総務の仲間に冗談交じりに再検査の報告をしておきました。

担当の女性曰く、本社で2名が再検査となったようで目立っているようでなかったのでほっとしました。

会社によると再検査だけで上司から呼び出されることもあるのです。

とくに転職して間のない会社でしたので、慎重に専務だけには要検査になったことを伝えました。

「まあ60歳に近づいたらいろいろ出て来るもんだ」

と自分も通院中ということでその夜も飲みに誘われる始末です。

流石に断りました。

指定日に病院に行くと、内科専用の待合室で1時間も待たされました。

思ったより若い先生でしたが、内科部長の肩書のネームプレイトが見えました。

「これは腎臓ですね」

と言われましたが、今まで指摘されたことのない臓器の名前です。

「喉が渇くとか、体がだるいとかはありませんでしたか?」

全く身に覚えはありません。

後で調べてみて分かったのですが、この時が腎臓病の『初診』と思いましたが、実は健康診断が『初診』になるのです。まだなじめません。

「尿のカルシウム反応が気になりますね?今日は昼からもいけますか?」

「はい」

とは言ってみたものの昼までに戻る予定で会社を出てきました。

CTと心電図とレントゲンの検査を受けました。

会社には電話を入れましたが、戻れたのは4時を過ぎていました。

流石に居心地の悪い雰囲気でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る