ピーアールはおまかせ
#11 きかくかいし
「なるべく沢山のフレンズにイベントに参加してもらいたいなら、まずは私達がフェスティバルを企画していることを皆に知ってもらう必要があると思う。そうすれば、ステージに出たいって言い出す子も出てくるだろうし…」
「確かにそうよね。でも、どうやって宣伝するのが一番良いのかしら?」
「そうよ。私達、ハカセ以外字が読めないんだし…」
ログハウスに戻った私達は、フェスティバルについて、いかに沢山のフレンズに参加してもらえるかを話し合っていた。
何せ、この企画を知っている者自体がこのメンバーしかいないのだ。協力者が多くないと、大規模なフェスティバルなど到底開催できない。まずは人材集めをしなければ始まらないのだ。
人間の場合は、イベントを開催する時はチラシやポスターで宣伝するのが一般的だが、この子達は残念ながら字が読めない。
「…となるとやっぱり、この辺に住んでる子達を片っ端から探すしかなさそう。ただ、まずはその小さな催しものを開いている子達に声をかけるのが一番早いんじゃないかな?」
「確かに、その方が企画にのってくれる確率が高いな」
「そうですね…。ただ、向こうは喜んで参加してくれるかもしれないですが、中には個性的なフレンズもいるので、まとめるのはかなり大変だと思うのですよ」
「…例えば、どんな子がいるんですか?」
「そうね、歌を歌うのが好きでもオンチだったり、演劇をやっていてもメンバーの仲が悪いとか、そんなところね」
なるほど。確かに、同じ鳥のフレンズだとしてもそれぞれ習性は違うのだろうから、すっちゃかめっちゃかな状況になることも有り得る。その時はどうまとめれば良いのか…。と、考える前に、とりあえず今はどんな参加者でも募るしかない。
「問題のないチームはないと思うのです。ただ、私のようにまともなフレンズももちろんいるのです。」
「大丈夫、どうにかなるはずよ!」
まぁ、何かしら非常事態に陥った時は、博士を頼るしかなさそうだ。
「あと、フェスティバルの開催場所はもう決まってるの?」
私の問いに、ハクトウワシさんは気持ちの良いほどさらっと答える。
「ないわ!」
私の右肩が、がっくしと下がった。
全く、この三人組は、どこまで私を頼るつもりなんだ…?
仕方がない。こうなったら、時間も時間だし、色々なことを平行して行う必要がありそうだ。
「じゃあ、最初は参加メンバーの募集と開催場所の確保をするのが一番かも。一ヶ月後に開催したいなら、二手に分かれて取りかかった方が早く進むと思うんだけど、どう?」
私の意見を聞くや否や、三人組はやる気満々な様子で立ち上がった。
「オーケー! じゃあ、私達三人はチホーを回って色々な子に声をかければ良いわね?」
「フーカとハカセとアキちゃんに場所の確保を頼んでも良いかしら?」
「なるべく広くて、沢山のフレンズが集まれる場所が良いと思う」
「スカイレースのコースはもう決めてあるから、ノープロブレムよ!」
やはり、三人組はスカイレースに特に熱を入れているようだ。
というか、基本的にスカイレースがやりたいだけなのではないか…? と、さっきから感じる時があるのだが。
だとしたらこのフェスティバルはすぐに企画倒れするだろうし、まぁ、三人組のやる気次第というところだろう。しばらくは様子を見て、協力できるだけ協力するしかない。
「分かった。ただ、ステージとかを作るなら、それなりに広いところが良いよね? オススメの場所とかないの?」
私が聞くと、ハカセが窓の外を見ながら答えた。
「開けた場所はいくつかあるのです。ただ、ホートクチホーもかなり広いので、我々が知らない場所があるかもしれないのです。なので、あのフレンズに聞いてみるのが手っ取り早いと思うのです」
「え? あのフレンズって…?」
すると、三人組が理解したようで、うんうんと頷いた。
「分かったわ。じゃあ、私達は協力してくれる子達を探すわね。でも、許可をもらった後はどうすれば良いかしら? また、そのメンバー達で一斉に集まった方が良いと思うのだけれど…」
「そうですね…では、三日後の朝にひでり山の山頂に集合、というのはどうでしょう?」
「オーケー! 任せなさい! 10組は余裕で連れてくるわ!」
「ハクトウワシ、さすがにそれは無理じゃないか…。でも、今日と明日の二日間くらいあれば、かなりの数のフレンズは誘えると思う。だからそっちも、明日までに場所を確保してほしい。遅かったら置いていくからな」
ハヤブサさんがやけに厳しく念を押してきた。頼まれているのは私の方なのだが…。まぁ、早いに越したことはないだろう。
ところで、さっき博士が言った「あのフレンズ」とは、誰なのだろう?
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