【 切子硝子 】
窓辺に置かれた
一輪ざしの切子硝子
複雑な光のプリズム
瞳の中の幾何学模様
ああ なんて楽園
だってわたしは
凡庸な人でしかない
透明の硝子は
見る角度で
その色や輝きも違ってくる
光のカレドスコープ
見れない局面が
まだまだありそうだ
限界はどこまでなんて
考えるのは止めておこう
地面に落とせば
美しい硝子細工も
一瞬にして 粉々に飛び散ってしまう
小さな破片は凶器となって
壊したモノに抗議する
この指から流れる血は
冒涜者への怒り
光を集めるほどの才能もない
壊れるほどの脆さもない
それでも輝くモノに憧れて
頭の中の光たちを
キーボードに打ち込む
哀しいほどに愚劣な人間
いつか いつか
完璧な図形を描きたい
そこから輝くモノが
溢れだすことを信じながら
ポチポチと……
不器用な指が流れていく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます