陰茎モルモット法案

「どうしてまんこやちんこはこんなにグロテスクなのだろう?もし美しかったらより人類はより繁栄するのではないか?」


「ん?」 


「いや、なぜグロテスクと感じるかというべきかな?ちんこやまんこが美しければさ、人々はより豊かにセックスを楽しめるのではないかな?」


「ああ、なるほどね.....。ふふっ、ふふふふふっ。それは違うよたかしくん。まだまだ若いね、たかしくん。あのね、ちんこやまんこは枷になっているのさ。人々の枷に。ちんこやまんこがグロいから人々はそこら中で手当たり次第にセックスしたりしないのさ。ふふ。じゃあその枷を解除するキーが何かって言うとね、愛、愛だよ。愛している相手のものなら、そのグロテスクさも受け入れることができる。むしろ愛おしくなってくる。そうして人々は真実のセックスを形作るのさ。ふふっ、そのうちわかるよ。たかしくんも。ふふっ。」


「うーん。いや、でもだよ。その愛なんてものがあるからさ、だめなんじゃない?争いの種だよ。愛なんて。愛が何人の人間を殺してきたっていうのさ。やっぱり愛なんてない方がいい。いや、愛を持つなら万人を平等に愛さなければいけないよ。やっぱりちんこやまんこはグロテスクではだめなんだ。かわいくなければいけないんだよ。」


「ほう....。確かに、確かにそうかもしれない。そう言われると、愛が人間を闘争へと駆り立てているような気がしてきた...。いや、そうだね、間違いない。人は常に愛のために争い、そして命を奪い合ってきたんだ。ああ、そうだよ。人はいつでもどこでも誰とでもセックスをする。そうあるべきな気がしてきたよ。そうだ!!じゃあさ、まずはちんこをモルモットにするべきだ!!ちんこをモルモットに!!ちんこをモルモットに!!」


「おおお!!いいアイディアだね。ちんこをモルモットに!!ちんこをモルモットに!!早速ネットで呼びかけてみよう!!」


『ぼくは思います。愛というものは人を闘争へと駆り立てる。愛するなら万人を平等に愛するべきなのだ。人は誰とでもセックスをするべきなのだ。そして今私たちを理想から遠ざけているもの、それはちんこやまんこのグロテスクさなのです。これらを解決するため、手始めにちんこをモルモットにすべきだと私は思います。さあみなさん、ちんこをモルモットにするべきだとは思いませんか?今こそちんこをモルモットにすべきなのです。協力してくださる方は拡散をお願いします!!』


「いいかもしれない!!RT!!」


「RT!!RT!!」


「ちんこをモルモットにー!!ちんこをモルモットにー!!」


「ちんこをモルモットにすべきなのだー!!」


 あっという間に陰茎モルモット法案は参議院、衆議院を賛成多数で可決し、成立することとなった。時の宰相、スーガ内閣総理大臣


「ええ、この度、国民の皆さんのちんこを、ええ、モルモットにすることになりました。ええ、国のリーダーとして私は先日、皆様に先立って手術を行わせて頂きました。不安な方もいると思いますので、安心のためにも見て頂きたいと思います。」


 そういうと、スーガ内閣総理大臣はズボンとパンツを下ろし、陰部を露出しました。 


 パシャパシャッ!!パシャパシャッ!!


 記者団のカメラの光の向こうには


「きゅきゅっ!!きゅきゅっ!!」


 そう、かつてちんこが生えていたはずの場所にはモルモットが生えているのでした。


「きゅきゅっ!!きゅきゅっ!!」


 かわいい鳴き声で、元気にバタバタしています。


「すげー!!」


「かわいいー!!」


 記者団から黄色い歓声が飛びます。股間のモルモットを誇りのように突き出す総理大臣。手をあげて声に応えます。


「はははっ、どうもどうも。どうもどうも。」


「きゅきゅっ!!きゅきゅっ!!」


 露出したまま、会見を続けます。


「ええ、本日から、一日50万件のペースで手術を行っていきたいと思います。医療従事者の皆様には大変ご迷惑をお掛けしますが、どうかよろしくお願い致します。」


 ワーッ!!!!


 キャーッキャーッ!!素敵ー!!


 黄色い歓声が湧きます。そしてその日から、計画通り、順調に手術は進んでいったのでした。手術を終えた男性たちは股間のモルモット達を誇りのように見せびらかし、ズボンもパンツも履かずに歩き周ります。


 キャーッ!!かわいいー!!


 かわいいー!!


 道を歩くだけで股間のモルモットには黄色い歓声が飛んでくるのでした。


「きゅーきゅーっ!!きゅーきゅーっ!!」


 勿論中には躊躇う人間もいました。しかし、国家権力に逆らうことはできません。


「はるか、俺の陰茎がモルモットになっても....愛してくれるか?」


「も、勿論ですよ。たかおさん。愛は絶対ですわ。」


 このように、陰茎モルモット法案は無事遂行され、そして完成したのでした。ですがしかし、モルモットになった陰茎はすでに生殖能力を失っていたのでありました。可愛さだけを追求しすぎたのです。


 完

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