「少女漫画なんか読まねーよ。つまんねーからな。俺は乙女じゃねーんだ。」

　ヤンキーが話しています。へえ、ヤンキーの時村くんは少女漫画を読まないんだな。ああ、時村くんについて知れてよかった。

　ブーーーン

　蚊が飛んでいます。蚊が時村くんの首元につきました。

　チューチューチューチュー

　血を吸っています。血を吸われている時村くん。かわいそうです。とってもかわいそうです。

「少女漫画なんか読まねーよ。俺はきゅんきゅんしねーんだ。」

　チューチューチューチュー、チューチューチューチュー

　血を吸われています。時村くん。血を吸われてしまっています。

「少女漫画なんか読まねーよ。んっ、かゆ、なんかかゆっ。」

　ポリポリポリポリ、ポリポリポリポリ

　かゆいー！！かゆいー！！赤く腫れています。

「くそっ！！血を抜かれた！！血を、血を抜かれた！！血を抜かれたんだーっ！！血を、血を抜かれたーっ！！血、血、血ーっ！！血を抜かれたーっ！！」

　すごい、すごい動揺している時村くん。すごい動揺っぷりだ。

「大丈夫だよ。血は大丈夫。蚊に血を抜かれたって健康に害はないよ。大丈夫、大丈夫さ！！」

　周りの友達が必死に励まします。

「血！！血をくれーっ！！血を抜かれたーっ！！血をくれーっ！！」

「大丈夫だって！！おいっ！！大丈夫だって！！」

「うわあああああ！！血っ！！血ぃっ！！血おくれーっ！！血をくれーっ！！うわあああああああああ！！血っ！！血をくれ！！血をくれーーーっ！！」

　完

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