プール開き

 サンサンサンサン、サンサンサンサン


 太陽が眩しい。自分が太陽であることを誇っているように輝いている。


 サンサンサンサン、サンサンサンサン


 ところで今日はプール開き。たかおは小学一年生。人生初の学校プールだ。たかおはワクワクしていた。


 ワーワーワー


 班ごとに並んでプールサイドに座る。プールに入る前にめんどくさい集会みたいなのをやるのだ。めんどくさいが従わなければいけないのだ。一人で暴走しても排除されるだけなのだ。少なくともこの場面において権力に逆らうのは得策ではない。


 たかおはおとなしく座っていた。みさき先生が話している。


「はい、今日はプール開きです。プールに入ります。プールって知ってるかな?プールというのは人工的に水をためた場所です。その中でもダム、風呂、ペットを飼うために水槽に溜めたもの、ペットの水用に水道水から塩素を抜くため日光に晒しているもの、味噌汁、飲むためにコップに溜めたもの、貯水タンク、なんとなく溜めただけのもの、空気洗浄機にためたもの、缶、ペットボトル、ビン、水筒、なんかのために冷却水をためているやつ、以外のもの。それがプールです。わかりましたか?」


「はーい!!」


「では、えーと、みらいさん。川はプールですか?」


 先生がちゃんと聞いてたか確かめるため、みらいさんを当てました。彼女は明るく元気で、先生のお気に入りです。


「はい。えっとぉ、、、川は人工的でないのでぇ、プールではありません。」


「はい、正解です。すごい!!理由まで完璧よ。では早速、みんなで体操をしましょう。きりーつ!!」


 オイッチニ、オイッチニ


 オイッチニ、オイッチニ


 オイッチニ、オイッチニ


 オイッチニ、オイッチニ


 体操、完。


「はい、ではみんなで泳ぎましょう。」


 やったあ、泳げるぞ!!


 たかおはワクワクした。そして、泳いだ。


 スイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイスイ

 スイスイスイスイスイスイスイスイスイスイ


 ん、


 気付くとたかおはよくわからないところにいた。


 ここはどこだ?


 たかおは考えた。どこなのだ。さっきまで何をしていたのだ。思い出す、クイクイクイ。そうだ!!スイスイ泳いでいたのだ。スイスイスイスイ、スイス!!


 そう、スイスに来ていたのだ。小学校一年生で一人でスイスに来てしまった!!道行く人に相談しなきゃ。


「あの、プールでスイスイスイスイ泳いでいたら、スイスに来てしまったヨ!!助けてください!!」


「?????」


 しかし、先進国なのでなんとか帰れた。みさき先生は小学生を授業中スイスへやってしまったので懲戒免職になった。


 完

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