シャチ

「しゃちは〜。」


「しゃちは〜。」


「しゃちは〜。」


「しゃちは〜。」


 シャチ達が挨拶しています。シャチ集会です。どうやら狩に出かけるそうです。


「アザラシを、取りに行くぞお。」


 みんなでアザラシを取りに行きます。


 グォ〜!!グォ〜!!


 グォ〜!!グォ〜!!


 さすが海のギャングです。力強い。強そう、強そう。


 グォ〜!!グォ〜!!


 海の中を雷のように力強く泳ぎます。


 グォ〜!!グォ〜!!


 ノンノンノン、ノンノンノン


 お、遠くの方でアザラシらしきものがのんびり泳いでいます。大福みたいで可愛いです。アザラシらしきものは可愛いです。


 グオオオォオォォォオオォオオォォォ!!


 シャチ達がグオオォォォオ。あっという間にアザラシは囲まれてしまいました。酷い世界だぜ。トホホホホホ。


「お前、アザラシだな。今から食べるぜ。」


 凶暴な思春期シャチのシャチ男が言いました。


「ち、違います〜〜。私はあざら氏です。アザラシではありません〜。」


 アザラシらしきものが答えます。


「嘘をつけ!アザラシのあざら氏だろう!!」


 シャチ男は怒りました。


「お母さんに聞いてきま〜す!!」


 ピューーーーン!!


 アザラシらしきものはそういうと、どこかへとんで行き、そして帰ってきました。


 ピューーーーン!!


「お母さんに聞いたらね、アザラシのあざら氏も、ただのあざら氏も、ただのあざら氏なんだって。」


 アザラシらしきものが言いいました。


「へえ、そうなんだ。ああ、そう、つまり、大切なものは目には見えないってことだね。」


 アザラシらしきものの報告にシャチ男が返事をしました。


 うぅ、うぅ。みんな、泣きました。うぅ、うぅ、うぅ、うぅ。


 大切なものは目には見えない。


 うぅ、うぅ。黙って様子を見ていたワカメも泣いていました。うぅ、うぅ。うぅ、うぅ。


 もうすぐ春が、やってくる。

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