顔火山

 街を歩いていると、前から女が歩いてきた。女の顔にはたくさんのニキビが付いている。ブツブツブツブツついている。


 日曜日の繁華街、その割には人が少ない。ひょろひょろろ。どこからともなく男が現れ、女に絡み始めた。いかにもチンピラ的な男だ。


「ニキビニキビ!!へいへ〜い!ニキビニキビビビ、ばっちいばっちい、ニキビビビニキビビビ、ばっちいばっちい、ニキビビビニキビビビ!!」


 どういう関係かはわからないが、男は女のニキビをからかっているようだ。


 ドカーンッ!


 突然の爆発音。女の顔から赤色の液体のようなものが発射し、男の足にかけられた。男の足は赤くなり、その色は全身へと広がっていく。


 ヌニャヌギャグググ〜にゃニャグギビョビョ〜〜


 断末魔とともに、男は灰の山になった。


「これはニキビじゃなくて火山なのだ。」


 女は灰の山を見ながらいった。


 ゾゾゾゾゾゾゾ、ゾゾゾゾゾ、ゾゾゾゾゾゾゾ、ゾゾゾゾゾ


 恐ろしいものを見てしまった。私は恐れた。どうにかしなければいけないと思い、地質研究所に電話した。


「もしもし。」


「はい、もしもし。こちら地質研究所です。」


「ここはぽんちょこ通り一丁目のぽんちょんちょこなのですが、顔に火山を持った女がマグマを噴射し男を灰にしました。」


「それは大変だ。すぐ向かいます。」


 しばらく女を見張っていると、白衣を着て眼鏡をかけた男が話しかけてきた。


「通報者様ですか?私、地質研究所のものですが。」


「あ、どうも。女はあそこにいます。」


 私はカフェでくつろいでいる女を指差して言った。猫背でひょろ長い男だ。


「了解しました。」


 そういうと地質研究所職員は女に近寄っていった。


「すみません。私、こういうものなのですが。」


 名刺を見せながら話しかける。それを見た女の顔は表情を一変。顔にある火山を連続爆発させ始めたのだ。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドカーン!!


 シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュン


「地質研究所職員を、なめるなよ。」


 男は見事にそれを交わし、女に手錠をかけた。


 ニョーーーーン


 女はしょんぼりしながら連行されていった。皆さんは、顔に火山があっても内緒にしましょう。


 完






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