落ち武者ウォーキング
オチオチ、オチオチ
落ち武者が歩いている。傷だらけ、痛そう。血がだらだら流れている。私は困っている人を見たら助ける人間である。とりあえず、声をかけて見みる。
「痛そうですね、なにかお手伝いしましょうか。」
「うむ。先ほどの戦で全身傷だらけだ。もう私は長くない。いっそのこと首を切ってくれないか。」
「ええ、そんな。あなたの首を切ったら私は殺人罪に問われてしまいます。もしかしたら、もしかして、これは罠ですか。私をよく思ってない人間があなたを利用して私を犯罪者にしようとしているのですか。そうだ、そういえばおかしいじゃないですか。なんでこんな時代に落ち武者なんて歩いているんですか。先ほどの戦ってなんですか。説明して下さいよ。それに落武者といっても武士なんだから。自分の面倒は自分でとってくださいよ。なんで人に殺してもらおうと思ってるんですか。恥ずかしくないんですか。なんなんですか、ほんとに。」
「なにかお手伝いしましょうかと言われたから、ちょっと言ってみただけなのに、そんなに言わなくたっていいじゃないか。ぐすん、ぐすん。」
そういうと落ち武者は自分で腹を切り死んでいった。私は己の無礼を恥じ、善く生きることを誓った。
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます