第3回『鏡』/ かたわれ

一卵性の子供に同じ服着せる親がいけないと思う。

亜夜あやが言う。

「あいつら同じ顔してたら同じ人間だと思いやがる。

小夜さよ、髪伸ばしな。大人しいあんたに似合うはずだ」


嫌はなく従った。亜夜は市営のフットサルチームで活躍し、

高校ESS大会で最終弁論まで行き、

ショートステイに行った先でテロに遭って死んだ。

あんまりあっけなくて呆然とするあたし達家族に周囲は言った。

「同じ顔がもう1人いるのは親御さんも慰めになるわね」


別の人間だって、亜夜は言ったよね。でも。


朝起きて町中で大学で、映り込むあたしにぎくりとする。

そこにいるのは亜夜じゃない。じゃあ誰?

亜夜、出てきてよ。あんたとあたしは違うって突き放してよ。

さもないとあたし

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