300字SSポストカードラリー in Text-Revolutions
まるた曜子
第1回『本』/ 物語(おとぎばなしを)を綴る人
また彼女がテレビに出てる。私の本を手に。直木賞受賞作家の原点と称する、
世界でただ一冊の手作り絵本を得意気に掲げて嘘ばかり。
近所というだけで仲良くなれた日々、恒常的な別離。幼かった。善悪がわからない程。だけど。
―――借りパク女。それはあんたのものじゃない。テレビを消した。
日曜の朝なのにインターホンがひっきりなしに鳴る。
「なんで連絡くれないの! ペンネームじゃわかんないよねってあんなにアピールしたのに!
調査費で賞金半分飛 んじゃったよ!」
出演がサインなんて、本当を知ってる私を待ってたなんて怒られても。
細かなほつれはあれど、20年前の物とは思えない布張り表紙をゆるりと撫でる。
おかえりなさい、おかあさん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます