サーバルちゃんが死ぬのを笑いながらみんなで眺めるだけ

夏川ひかり

サーバルちゃんが死ぬのを笑いながらみんなで眺めるだけ

サーバル

「いっくよー!」

サーバル

「とりゃー!!」ぴょーん!

フレンズ

「おおおお!」

フレンズ

「すっごーい!!」

サーバル

「へへーん! 趣味でジャンプしてるからね! ジャンプは大好き!」

フレンズ

「サーバルは凄いなぁ」

サーバル

「はぁはぁ……ちょっと疲れちゃった! あ、ジャパリマン一個貰うね」


サーバルがジャパリマンを取ろうとする。


ツチノコ

「こらー!! なに勝手に触ってんだこらー!!」

サーバル

「え!? なになに!?」

ツチノコ

「ジャパリマンは今日から有料なんだよ!! 欲しかったら50ジャパリコイン持ってこい!!」

サーバル

「え、えー!? そんなにコイン持ってないよ……」

ツチノコ

「じゃあ稼いでくるんだよ!!」

サーバル

「か、稼ぐー!?」


サーバルちゃんが死ぬのを笑いながらみんなで眺めるだけ


プレーリー

「みんなに住みよい家を提供するであります!」

ビーバー

「えっと……間取りはどのようにするっすか?」


フレンズ

「カフェまで乗せてってもらえる?」

トキ

「ええ、分かったわ。じゃあ、カフェまで運んでってあげるわね」


あらい

「わっせわっせ!」

フェネック

「あらいさーん。それ洗っちゃダメなやつだよ」

あらい

「ふえ!? ダメだったのだー!?」


サーバル

「はぇ^~。なんだかみんな、いろいろな事でジャパリコイン集め出したね……」

まろうじん

「集めなければ死。それがココの掟ジィ」

サーバル

「そ、そっか……」

サーバル

「よーし! 私もなんとかしてジャパリコインを稼ごう!」


のののののののののののののののののののののののののののののの


サーバル

「さて……どうやって稼ごう?」

サーバル

「あ! そうだ! 私にはジャンプ力ぅ……っていう特技があったじゃない!

これを極めれば、きっと沢山ジャパリコインを集められるよ!」


のののののののののののののののののののののののののののののの


ジャンプの猛練習をするサーバル。

サーバル

「とりゃー!!」ぴょーん!

サーバル

「どりゃー!!」みょーん!


のののののののののののののののののののののののののののののの


ジャンプ披露するサーバル。


フレンズ

「すっごーい!」

フレンズ

「最高です!! ファンです!」

サーバル

「はぁはぁ……へっへーん! どうよ!!」

サーバル

(い、今までで一番頑張った……ま、まあこれならコインも……!)

サーバル

「さあ、みんな! 楽しかったらジャパリコイン1コインだよ!!」


全員

「………………」


フレンズ

「は?」

フレンズ

「なにそれ……」

サーバル

「……ん?」

フレンズ

「うわっ……ファンから金取るのかよ……」

フレンズ

「サイテー、見損なったわサーバル」

サーバル

「え!?」

サーバル

「い、いやいや! ごめんね! 強制じゃないよ? 気持ちで十分だから!」

フレンズ

「そっかw じゃねー!」

フレンズ

「また楽しみにしてるね!」

フレンズ達

「…………」バラバラ……

サーバル

「あ……いや! ま、まって。その……」

フレンズ

「大丈夫! サーバルのジャンプ力はすっごいから、

きっとすぐ沢山コインも集められるようになるよ!」

サーバル

「え? そ、そうだね……」

サーバル

(あれ? この子今まで見てたのに、なんでそんな他人行儀なの?)

サーバル

「じゃあ……あなたがその一人になってくれたらありがたいんだけど……」

フレンズ

「あ。ああ……ご、ごめんね。私も生活が掛かってるからさ」

サーバル

「あ……そ、そうだよね。ハハ……」


別の日


サーバル

「みんな! 私のジャンプ凄いから、見てってね!!」

ギンギツネ

「……あんまり面白くないわね」

サーバル

「あ……ごめんね。気に召さなかった?」

キタキツネ

「そういうのはね……。コインを払ったフレンズだけが言えるんだよ……」

ギンギツネ

「はぁ? つまらないものにコイン出してもなんの意味もないでしょ。

次見ても面白くなってることはないし、期待するだけ無駄よ」

サーバル

「そんな……。こんなに努力してるのに……」


助手

「我々は賢いので、タダで見れるものに金を出す必要も義理もないのです」

博士

「我々は賢いので、無駄な事には金を出さないのです」

サーバル

「無駄!?」


のののののののののののののののののののののののののののののの


サーバル

「じゃ……じゃぱりまん食べたい……」グー……

サーバル

「んー……なんだか力がでないよ……

でも明日はもっといいジャンプが出来るように頑張らないと……」


別の日


サーバル

「みんな! 私のジャンプ凄いから、見てってね!!」

フレンズ

「うわっ! サバンナ地方のやべーやつじゃん」

フレンズ

「まだジャンプしてんの?」

フレンズ

「小銭が欲しいからだろ」

フレンズ

「金目当てとか思ったら急につまんなくなったわー」

サーバル

「うっ……ち、違う違う! 利益とかじゃなくて……私ジャンプするのが好きだから! ね!」

サーバル

「ほら見て! すっごい高く跳べるように、こんなに頑張ったよ!」ぴょーん!

フレンズ

「…………」

フレンズ

「その程度で頑張ったとか言われても……」

フレンズ

「頑張ったアピールとかないわー」

サーバル

「え!? いや……まぁそうだねw あ、あんまり頑張ってないのかも……」

フレンズ

「そんなこと言うのやめなよ!」

フレンズ

「そうだよ!(便乗)」

フレンズ

「頑張った事には頑張っただけ利益があっていいんじゃん!」

サーバル

「みんな……」

フレンズ

「また続きをやってね! 何でもするから!」

サーバル

「じゃ……じゃあ、1コイン欲しいんだけど……」

フレンズ

「いや、それはちょっと……」

サーバル

「ええ!?」

フレンズ

「いやいやw サーバルのジャンプは凄いし、面白いと思うよ!」

フレンズ

「そうそう! 私があげなくても誰かがきっと1コインくらいくれるよ!」

フレンズ

「そうそう! 私じゃなくて誰かがきっとくれるから大丈夫だよ!」

サーバル

「な……なんで他人行儀なの……? 誰かって誰なの?」

サーバル

「……払ってよ! たったの1コインがなんで払えないんだよ!?

みんなが1コインずつ払ってくれれば私は生きられるのに、なんでそれすら払ってくれないんだよ!!」

フレンズ

「おいおい、なんか金出せとか言い出したぞw」

フレンズ

「死ぬわあいつ」

サーバル

「あっ……! いや、違う違う! ご、ごめんね。そういうつもりじゃなくてその……貧乏だから……」


ゴゴゴゴゴ……!

フレンズ

「うわっ!? ヘラジカがおこだよ……!!」

ヘラジカ

「おいサーバル!! お前がやってることは趣味なんだろ!? それをなんだ!!」

サーバル

「ひっ!?」

ヘラジカ

「金儲けのためじゃなくて、普通に楽しんだらどうなんだ!!」

サーバル

「っ!?」

サーバル

「た、楽しめ……!? 普通ってなに……? どう楽しめって……? 私貧乏で困ってるし、みんなコイン分けてくれないし……」

ヘラジカ

「お前が楽しそうじゃないからみんなつまらないって言ってるんだ!! なんだ頑張ったって? 世の中みんな頑張ってるんだ!! お前だけ頑張ったとか思ってるのか!?」

サーバル

「え……い、いやその……そんなつもりじゃ」

フレンズ

「貧乏貧乏うるせぇし、自分だけ苦しいとか思ってんの?」

フレンズ

「そうだ! 不幸自慢すんな!!」

フレンズ

「趣味で金儲けすんな!!」

サーバル

「で、でも! ジャガーちゃんだって趣味でフレンズを運んでるじゃん!」

フレンズ

「は? ジャガーのは仕事だろ」

サーバル

「じゃあ私のジャンプも仕事だよ!!」

フレンズ

「は? サーバルのは趣味だから金稼いじゃダメだろ」

サーバル

「なんでぇ!?」

ジャガー

「わからん、サーバルの言ってることが自己中すぎて全然わからん」

サーバル

「なんで自己中になるの!?」

ジャガー

「サーバル……。おまえのやってることは全くみんなの役に立ってない。

無駄な時間を過ごさせるなよ」

サーバル

「…………!」


フレンズ

「ほらほら! サーバルも趣味と割り切って気楽にやりなよ!

お金は出せないけど、私たちを楽しませるのが嬉しいんでしょ?」

サーバル

「…………あ、う……うん」

フレンズ

「ジャンプだったらカンガルーの方がおもしろい事やってたよ。ダダで!」

フレンズ

「じゃあ、そっち見に行こうぜ!」

サーバル

「え!? あっ……ま、まってよ!」

サーバル

(タダでって……カンガルーちゃんはどうやって生きてるの?

タダで出来るくらいいっぱいコインを持ってるから!?

タダだなんてそんなの……私には出来ないよ。

困るよ……そんなことやられたらコイン貰いにくくなっちゃうよ)


サーバル

「や……やあみんな」

フレンズ

「あ、サーバルだ」

フレンズ

「サーバルは金の亡者だから近寄らない方がいいよ」

サーバル

「な、なんでそんなこと言うの……」

フレンズ

「ファンを金儲けの道具としか思ってないクズ」

サーバル

「ひ、ひどいよー! そんなこと思ってないよ……。じゃあだれからコインを集めればいいんだよ……」

フレンズ

「は? 自分で考えたら?」

フレンズ

「死ね」


サーバル

「だめだめ! こんなんじゃ……。なにか工夫しなきゃ!」

サーバル

「そうだ! ジャパリコイン貰った後から芸を見せればいいんだ!」

サーバル

「1コインでジャンプ見せてあげるよ!」

フレンズ

「また今度ね」

フレンズ

「誰?」

フレンズ

「死ね」

サーバル

「うう……知名度が集まらないよ……」


サーバル

「元々コイン稼げる能力じゃなかったのかも……他の事で何とか稼がないと!」

サーバル

「でも私、ジャンプくらいしか出来ないしなぁ……」

カワウソ

「わーい!」

サーバル

「あ、カワウソちゃんは石のお手玉でコインを集めてるんだ……そうだ、あれを真似をしよう!」


サーバル

「見てみて! 石でお手玉するよ! ……っと、わっ!」

コロコロ……。


フレンズ

「へたくそ!」

フレンズ

「つまんねぇ」

フレンズ

「カワウソのパクんな」

サーバル

「ハハ……ご、ごめんね」


サーバル

(やっぱり駄目だった……なんかもうなにやってもダメなような気がする……)

カワウソ

「サーバル」

サーバル

「あ! カワウソちゃん……。 私カワウソちゃんのお手玉で稼ごうとしたけど、なかなかうまくいかなくて……」

カワウソ

「…………」

サーバル

「か、カワウソちゃん……?」

カワウソ

「人の持ち業で勝手に稼ぐなんてどうかと」

サーバル

「ええっ!?」

カワウソ

「使用料払って貰うよ。ちょさくけんーってやつだから」

サーバル

「え……ええ!?」


PPP会場

マーゲイ

「握手会一回1000ジャパリコインでーす!」

サーバル

「いいなー。ペパプのみんなはあんなに沢山じゃぱりコインを集めてる……。

だめだめ……嫉妬しちゃ! でもうらやましい……!」

マーゲイ

「次はPPPによる戦隊劇です」

イワトビ

「悪いやつだぞー! 世の中金だぜ!! へっへっへー金を出せー!」

プリンセス

「出たわね! 怪盗小銭稼ぎ!!」

サーバル

「!?」

フレンズ

「そうだそうだ!!」

フレンズ

「金を稼ぐ奴は悪!!」

フレンズ

「無料こそ正義!! ボランティアこそ正義!!」

サーバル

「や、やめてよ……!」

イワトビ

「ぐえ~、すみませーん! もうお金を稼ぎませーん!!」

プリンセス

「悪は滅びたし!!」

サーバル

「やめてよ!! そんなお金を手に入れる事を悪いように言わないでよ!」

フレンズ

「あ?」

フレンズ

「なんだあいつ?」

サーバル

「みんなだってコインは必要でしょ!? ペパプだってみんなからコイン集めてるじゃん!!」

フレンズ

「あいつは怪盗小銭稼ぎの手下だ!!」

フレンズ

「てっめぇ!! PPP様悪く言ったらぶっ殺すぞ!!」

フレンズ

「悪人だ! やっつけろ!!」

サーバル

「うっ!? み、みんなはコイン集める能力があるからいいけど、私みたいなのはどうやって生きればいいの!?

コインの稼ぐ能力のないフレンズはみんな死ぬしかないじゃない!?」

フレンズ

「自分で考えろ!! 無能フレンズが!!」

サーバル

「い、痛い! やめて、やめて!」

サーバル

(ダメ! 逃げなきゃ!)

スタタタ……!


プリンセス

「だめよ! みんな。仲良くやりましょ!」

フレンズ

「流石プリンセス様……悪い奴にも優しい!」

フレンズ

「まさに女神……お布施をするのです!」


…………


サーバル

「やばい……もう3日もなにも食べてない……」


ビリッ


サーバル

「うわっスカートが破れちゃった!? どどどうしよう!?」

サーバル

「こんなの私じゃ直せない……縫物が器用なフレンズに頼まなきゃ!」

サーバル

「でも、頼むためのジャパリコインがない……」

サーバル

「…………」

サーバル

「……もういっその事、他のフレンズから奪うしか……?」

サーバル

「はっ!? いやいや、何を考えれてるんだよ……!」

サーバル

「あっ! ジャパリマン……」

サーバル

「…………」

サーバル

「一個くらい食べてもばれへんやろ」

かば

「サーバル」

サーバル

「か、かば!?」

かば

「あなた、今なにをしようとしたの?」

サーバル

「た、食べてないよ!」

かば

「食べようとしたのね……」

サーバル

「そ……そんなこと言ったってコインが集まらないんだよ……。このままじゃ私は……私は……」

かば

「はあ……これをあげるわ」


1ジャパリコインを渡してくるかば。


サーバル

「あ、ありがとう! カバ様こそ本当の私のファンだよ!」パシッ

かば

「……がめついわねサーバル。私の手から奪い取るなんて」

サーバル

「え? そ、そんなことしてないよー!」

かば

「どうかしらね。まあ、それだけあなたが困っていたから。なんでしょうね」

サーバル

「でも、かばはどうやってこのコインを?」

かば

「あんまり言いたくないけど、う……うんこをまちきらす芸でなんとかやってるわ」

サーバル

「ええ!? あのプライドの高いかばが!?」

かば

「それだけコインを集めるって事は大変なのよ。ジャパリコインを舐めないで」

サーバル

「あ……ごめん」

かば

「じゃあ、私はこれから忙しいから。さようなら」

かば

「あと、これっきりにしてちょうだい……」

サーバル

「え…………」


すたすた


サーバル

「かば……」

コインをぎゅっと握る。


…………


一人になったサーバル

サーバル

「こんな……こんなもの!!」

サーバル

「なんでこんなコインなんか集めなきゃいけないんだよ!」カン!


ジャパリコインを投げるサーバル。


サーバル

「私はみんなと仲良くやっていきたかったのに!!

なんでこんな物のために、みんなと喧嘩しなきゃならないんだよ!!」

サーバル

「ジャパリコインなんて嫌い!! 大っ嫌い!! なんだよこの不幸は!?

なんで私だけこんな不幸なんだよ! みんなも不幸になればいい!!

私だって好きでこんなの集めてるわけじゃないよ!!

みんなに嫌われるくらいならいらないよこんなもの!!

もうやだよ……誰か助けてよ……なんでだよ……! 

ジャパリコインはみんなが欲しいものだから……仕方がないけど。

こんな……じゃぱりこいんの奪い合い戦争なんかに巻き込まれたくなかったよ!

私を巻き込まないでよ……だれか守ってよ……!」


ぐぅ~……。


サーバル

「うう……お腹すいたよ……」


コインを拾う。


サーバル

「……コインは嫌いだけど、これがないと死んじゃう……」

サーバル

「こんな大嫌いなものが大事だなんて……くやしいよ……」

サーバル

「くそう……くそう……!」

ダンッ!


しかし、サーバルはそれからもコインを集めることが出来なかった。


サーバル

「ああ。なんかもう……コインなんて、集めなくてもいいのかもしれないね……」

サーバル

「そっか。いいんだ……もう集めなくて。ははは……」

サーバル

「まあいいや……みんなが楽しいならそれで……」


…………


サーバル

「結局コインは集まらなかったなぁ……」

サーバル

「でもいっか……みんな私のジャンプ凄いよーおもしろいよーって言ってくれてたし……」

サーバル

「ああ……。楽しかったなぁ……」

サーバル

「私最後なんて力が出なくて、全然跳べてなかったw」

サーバル

「そしたらみんな”あんまり凄くないな”だってw」

サーバル

「そうだね……もともとそんなにすごいことじゃなかったのかもねw」


サーバル

「あ、なんか今日はぐっすり眠れるような気がする…………」

サーバル

「うん。私、たのしかったよ……」

サーバル

「これで良かったんだよね」

サーバル

「……これ……で」


サーバル

「たの……し……」


………………


…………


……


それから、サーバルが目を覚ますことはなかった。


ENDING


フレンズ

「最近サーバル見ないな」

フレンズ

「あーなんか別のちほーの奴が死んだとか言ってたぜ」

フレンズ

「えー、あのジャンプのやつ面白かったのに」

フレンズ

「まあいっか。他の芸見に行こうよ」

フレンズ

「そういやカメレオンの芸がタダで見れるらしいぜw」

フレンズ

「最高だな! これからも見てやるから、ずっとタダにしろよな」


暗転。


かばんちゃんが倒れているサーバルちゃんを見つめる1枚絵


END


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