第80話 超兵器

現在陛下が可愛くも幼女二人と遊んでいる。

陛下は大分スーリアと打ち解けたようだ、良かった。


「ところでスーリアのお父様とお母様ほ何処にいらっしゃるのですか?」


「おとうとおかあはラッセの町にいるの、でも今天空人様同士で喧嘩してて、恐いから逃げたいって言ってるの」


「それは怖いですね、お姉さんは一応この国では偉い人なの、お力に馴れるかも知れないから、お父様とお母様に事情を聞かせて頂けるか聞いてみて貰えますか?」


「本当?おとうとおかあ助かるの?ここに来れるの?」


「はい、最初は少し不自由かもしれませんが、ちゃんとしてくださっていれば直ぐに幸せになれますよ!」



「うん!解った、おとうに聞いてみる」


俺はすかさず念話傍受の指示を出した。

スーリアとの話がついた様で、陛下との三者での会話になったようだ、残念ながら俺に念話は出来ない、と言うより天空人には出来ない……


高度な傍受者になると、逆探知の様な事も出来るらしい、陛下は流石だった。

会話しながら魂飛ばしを行い、向こうの波動をキャッチしスパイかどうかまで探っていた。


会話が終わった様だ


「じゃぁスーリア、メイラ、今日はここに泊まって行きなさい、夜も遅いから……良いですね?」



「は~い」



「フェリア、皆で泊まって行け」


「ありがとうございます、ご主人様」


「何言ってやがる、礼を言いたいのはこっちの方だ!」



俺は健二を叩き起し、陛下を上手いこと言って健二の部屋に連れて来た


「それでどうだった?」



「スパイの可能性は限りなく低いです、只の農奴の様でした。若い夫婦で父はヴェッセル、母はシチルカヤと言う名です。ヴェッセルの妻は一人、スーリアを産んで直ぐにアトランティスとレムリアが戦を始めたので、ラッセと言う町に疎開したようですが、そこまで戦渦が拡大し、やむなくスーリアだけ親類の所に疎開させたそうなのですが、その親類がスーリアを奴隷商人に売り飛ばしてしまったそうです」


「ひでーはなしだな!」


「はい……現在ヴェッセル達がいるラッセと言う町はここ、直接は見れませんでしたが、確かに軍勢同士が争った形跡が至るところにございました。

それに通常魔法では説明の着かない焼け跡なども複数箇所見られる所から察するに……」


「フォルム同士のぶつかり合いか」



「はい、ですが健様の戦闘の様に地形が変わってしまう様な酷さはありませんでした」



「すいません」



「いえいえ」



俺は陛下を先に寝かせ、健二と話を始めた、この頃には健二は普通に口が聞ける様になっていた。


「浩二、どう思う?」



「帝の魂飛ばしなら確実だね、念の為に近くにいる鴉に確認させよう、帝の言う通りならこれ以上のチャンスは無いよ、母さんの軍勢を一気に進めた方がいい」


「やはりそうか、俺や陛下はどの辺りで合流するべきだ?」



「まず久美とマルティアをここで母さんと合流させ、ここを叩いて貰う、たけちゃん達はメソポタミアの発祥の地で洒落込めばいいんじゃないかな?」


薄笑いを浮かべる浩二


「洒落込む訳じゃなくて史実を塗り替えるんだろ?」



「流石たけちゃん、よく解ってらっしゃる」



「お前が敵じゃなくてマジで良かったぜ、えげつねー」



「それはお互い様だよ?たけちゃん」



浩二の言うことはこうだ、バベルの塔を完璧にしてしまえ…………



ーーーーーーー


マルティア大隊本陣


「マルティア大将に報告致します!」


「どうだ⁉」



「パティ大佐引きいるワルキューレ隊が砦を陥落、敵の追撃許可を申告されておりますが?」


「解った、流石だ!我々本隊も出るぞ、陣を引き払え!追撃戦に出るぞ」


「マルティア大将、追撃出られます!」


「よし!このまま砦を超え久美大隊との合流地まで追撃戦とする!押し出せーーーー!」


オォォォォォ!



ーーーーーーー


変わって久美大隊本陣


「久美大将に報告致します」


「どうしたの?」


「遊撃隊、砦を陥落させ敵本陣に突入致しました」



「また勝手にあの子達は……別隊も応援に行かせて、砦が落ちたなら合流地まで急ぐわよ!陣を引き払う!急げ」




久美隊の敵本陣


「申し上げます、砦が落とされました!直ぐに引き払った方が宜しいかと!シンガリは……」


「敵襲ーーーー!全身を縄で縛った女将達が口に異様な物を加え突入してきましたーーーー!」



「んんーーーーーーーーーーー!」



口にギャグボールを加えているので通訳しよう


お命頂戴ーーーー!



「何だこのふざけた女達はーーーー!我が軍はこんな者達に敗北したのかーーー!」


あっと言う間に敵軍は全滅した……


ここでまた歴史が動く、この時辛くも逃げ切った敵が助かった事を喜び、地蔵を各地に奉納したと言う……

そしてこの地蔵には縄で縛られた様な跡が有り、美しい女性の姿の地蔵だった。

またこの地蔵を縄で縛るとあらゆる痛みを地蔵が肩代わりしてくれると言う。

この地蔵の名は、縛り地蔵



ーーーーーーーーーー

再び久美大隊本陣


「久美大将に報告致します……」


「どうしたの⁉青い顔して」


「遊撃隊が戻りまし……オェェェェ!」



「ちょ!どうしたの?」



「んんーーーーーーー!」

解説しよう……

(戻りました、首あらためお願いします)



「おかえり!随分早く………………オェェェェェェ!」


遊撃隊が戻って来た、敵の生首を大量にザルに入れて………………




ーーーーーーーーーー


変わって大本営



「帝、閣下にご報告致します」


「随分早いな‼」


「マルティア大将からの念話が入りました、砦を陥落、合流地まで敵追撃中との事」


「流石ですね、引き続き報告を!合流したら伝えて下さい」



「帝、閣下にご報告致します」


「久美かな?」


「久美大将付きの者からです、砦を陥落し合流地まで向かっているそうなのですが…………」



「どうしたのですか?」



「ああ…………また苦情か……」



「はい、久美大将が激怒されていると……」



「何て言ってるんだ?」



「それが………………」



「どうしたのです?久美はなんと?」



「あまりにもお怒りになられていて、何を申されているのか解らないと…………」



ダン‼



俺も陛下もぶっ倒れて机の上に頭を落としてしまった……



「仕方がありません、私が魂飛ばしで見て参りましょう」



「悪いな陛下、昨日に続き連続で」



「大丈夫ですよ、久美を捉えました……え?あれは…………」


「どうだ?陛下」



みるみる顔が青くなる陛下



「大丈夫か?やっぱり連続はきついんじゃ」



「いえちょっとすいまオェェェェ!もうしわオェェェェェェェェェェ!」



「うぉ!陛下どうした!」



いきなり戻す陛下、俺は何が何だか解らずとにかく陛下を抱き締めながら背中を擦った



一頻り戻し終わった陛下から内容を聞いて、俺は頭を抱えながら、遊撃隊員達に念話を繋いで貰った。どうやら彼女達はどのくらい成果を上げたか俺に確認して貰うまで、身記しは捨てられないと久美の前まで持って来てしまった様だ。

久美に確認して貰い、俺に成果分の報酬確約を取り付けようとしてた所らしい…………

俺は彼女達にピーをタップリピーしてやるから身記しを直ぐに埋めて、今後は報告だけで身記しは入らないと言っておいた。

その後久美とも念話を繋いで貰ってようやく久美は納まったが、俺は殴られるのが確実らしい…………



ーーーーーーーーーー


また変わり朔本隊本陣



「上皇にご報告致します、敵城降伏に応じず、徹底交戦に備え籠城を続ける模様」



「ふむ、致し方在るまい……我らの拠点となる城じゃ、燃やす訳にもいかんしのう、アンナ!」



「は!」



「魔法特化隊と他3000を引きいて城門を叩き壊して来るがよい。先ずはここ、開いたと同時に中には入らず次はここじゃ」



「ならば上皇、閣下にお預かりしているあれを中佐に使って頂くのが良いと思います。」




「なるほどのう、試し撃ちをしてみるのも良いかものう。ならばシンラ、お主も同行し威力を確認してくるがよいじゃろう」



「は!では自分もお供致しますアンナ中佐」



「では参ります、魔法特化隊は例のレールガンとやらを持って着いてきなさい。我が中隊も来なさい!出陣します」



砦前に到着したアンナ中隊


「魔法特化隊前へ!本当にこの距離でこの鉄の弾が届くのでしょうか?しかもこの様に小さい弾にどれ程の威力が……」



「閣下の国では最新の兵器だといいますし、ここは信じましょう」



「ルチーナタイプは魔力変換と増大に専念しなさい!雷の魔法に完全に変換出来なければ威力が出ません」



「は~い」



「発射用意……放て!」



ヒュイーーーーーーン

パーーーーーーーーン‼


10人の隊員が一斉に小型レールガンを放った、瞬間


ドバーーーーン!

木造の巨大な城門が吹き飛び、扉付近の敵兵も巻き込み粉微塵になっていた……

これには流石のアンナも言葉を失ってしまった



「中佐!次弾はどうしますか~?」


「ひ、、、必要有りません…………次の扉へ向かいます」



朔本隊本陣

「上皇にご報告致します、アンナ中佐より城門破壊に成功、次城門に向かうとの事」



「はっ!早すぎるわい、こちらの用意がまだ何も出来ておらぬ‼

え~い急げ、急ぐのじゃー、城門を抜けて敵の城を陥落させるぞ!」



「用意出来ましてございます!」



「出陣致す!着いて参れ!」



朔が引きいる二万の大軍が城の城門を目指す


「突撃じゃーーーーー!」


そして……何故か何の抵抗もなく城門を抜けた


「な!……何じゃ?何故敵がおらぬ、籠城しているのではないのか?」


「上皇!」



「な!アンナ……どうしてここにおる⁉……南門に行ったのではないのか?」



「南門破壊しませんでした……敵は一斉に全て逃げ出し、ここはもぬけの殻になってしまいました……」



「徹底交戦ではなかったのか?」



「レールガンのあまりの威力に恐れをなして逃げ出した様です。南門前に着いた時には敵軍は次々に逃げ出している最中で、城は要らないからと言ってこの者達を…………」



「城主の一族ではないか!差し出してきたのか‼」


「はい……」



「そんなに凄い威力なのか⁉」



「足下をよくご覧下さい」



「ん?…………何じゃ?この大量の赤い物は」



「人の臓物や肉片にございます…………」



「な!…………オェ、、オェェェェェェェェェェ!」



ーーーーーーーーーーー


再び大本営


「帝、閣下にご報告致します、朔上皇よりご報告ですが…………」


「どうしたのです?」


「帝に直接念話を送るので心してきく様にと…………」



「はあ?」



「来ました、上皇からです、あるじどのに直接伝えよ、何じゃあれは、∇∫〆Ι∃〆⊥⊥〆‡§£∃|└∫£∫‡∫£∇〆¢⊥£―〆|£∀∇〆‡∬‡§……何を言っているか解りませんね………とにかく激しくお怒りになられている様です……」



「な……何で朔まで怒ってるんだよ⁉」



「さあ?、、仕方ありません…………

非常に嫌な予感が致しますが…………私がもう一度見て参りましょう」



「大丈夫か?まあ仕方ないか……これが終わったら陛下はゆっくり休んでくれ」



「ありがとうございます、では……どうも健様が考案された新兵器を使用された様ですね…………」



「ああ、レールガンか、、ん?まさか!……人に対して使ったんじゃ⁉陛下!見るな」


遅かったようだ



「オェェェェェェェェェェ!もうしわオェェェェェェェ!」



健二が窒息気味に笑っている……あれを作れと言ったのはテメーじゃねーか!

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