冬になったら思いだして

 お湯をしっかり沸騰させて、たっぷり空気を含ませる。

 小さめの湯飲みに注いで、待って、空の急須に移す。湯飲みは冷まさないように、

また熱湯を注いでおく。

 湯冷ましにも上から、空気を含ませるため、少し上から注ぐ。急須と湯冷ましで

練るように繰り返すとお湯は柔らかく、口に含んでも火傷しない温度に落ち着く。

これを浅蒸しの、急須に敷いた茶葉(ちゃよう)の上にゆっくりと落とす。

揺らさぬように、そおっと、待つ。

 君が帰ってくる。コートを脱いでソファに投げる。ラックにかけなさいと小言を言う

ところまでがデフォ。

そうしてここに戻ってきた君に、美しい水緑色の三口分の幸福を。

芯まで冷えた君をあっためる、すぐに飲み干せる1杯目を、どうぞ。

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