第18話 イルガード入団審査、そして
「リーラ。朝からどうしたんだ?」
客席に座っているリーラへ問いかける。
「メイルさんにお届け物を預かっておりまして、お届けにきました」
リーラはいつものように明るく答える。
「まあ、立ち話もなんだ、メイルも座りな」
フェヴィルがリーラの机を挟んだ向かい側の椅子を引いて、ここに座るようにと誘導する。
「はい」
リーラの向かいの席に腰を掛ける。
「それで、私に届け物って?」
単刀直入に切り出す。
「はい。これがお届け物です」
そういうと、リーラは肩掛け鞄から封筒を出して手渡してきた。
「ありがとう」
受け取った封筒には、表に私の名前、裏にはイルガード本部と書かれている。
早速受け取った封筒を開けてみる。
封筒の中には3枚の紙が入っていた。
私は、その全ての紙に目を通した――。
通知書と書かれた1枚目の紙にはこう書かれていた。
『メイル殿 貴殿のイルガード入団申請を受け、中央支部ギース班、班長ギースより、中央支部長及び団長へ審査依頼が行われた。それに伴い、審査の結果が以下の通りになったので通知する。支部長審査……合格 団長審査……合格 したがって、メイル殿の入団を認めることとする イルガード団長 オラトス』
これが私の、イルガードへの入団が認められた瞬間だった。
通知書を読み、顔をあげると、目の前のリーラが笑顔で、
「おめでとうございます! メイルさん!」
そう言って私の合格を喜んでくれた。
「メイル。よかったな」
「おめでとう」
フェヴィルとクレアも喜んでくれている。
「ありがとう」
感謝の言葉をリーラ、フェヴィル、クレアに告げる。
2枚目の紙は、任命書と書かれており、紙には、
『メイル殿 貴殿をイルガード中央支部ギース班への配属を任命する』
と書かれていた。
3枚目の紙は、今後の予定が書かれており、予定では数日後から本部での研修が行われる事になっていた。
一通り話を終えると、リーラはイルガード本部へと戻り、お店は開店準備に入った。
お昼の営業、夜の営業と、その日はいつも通り忙しかったが、何事もなく終えることができた。
閉店後の片付けをしていると、
「メイル。そういや研修はいつからだ?」
厨房で自分たちの晩御飯を作っているフェヴィルから聞かれる。
「予定では3日後に始まるみたいです」
リーラから渡された予定表には、そう書かれていた。
「そうか。店の事は気にしなくていいから、しっかり研修を受けてきてくれ」
「はい。わかりました」
お店は忙しいが、研修を受けなれば、団員としての活動を始める事ができないので、ここはお言葉に甘えさせてもらうことにした。
片付けを終えて、フェヴィル、クレアと共に食事を囲む。
その日の料理は、フェヴィルが、私のイルガード入団祝として、いつもより豪華な料理を作ってくれた。
いつもより特別な日に、いつもより特別な料理。私はこの日を忘れることは無いだろう――。
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